遅延や紛失もしばしば それでも手紙を書こう インドネシアの郵便事情

 電子メールやSNSの普及により、遠く離れた相手であっても瞬時に連絡が取り合える現代、あえて手紙を書く人は年々減少している。しかし、手書きのメッセージは、単に用件だけでなく気持ちを伝えるものとして、今でも大切なコミュニケーションツールだ。とはいえ、インドネシアでは、郵便物の遅延や紛失も多いのが現状。郵便事情を調べてみた。
 ジョクジャカルタ特別州のガジャマダ大学に留学中の福岡女子大学3年生・宮崎桃子さん(21)は、通常2週間で届くはずの日本からの手紙が2カ月経っても届かなかったのを不審に思い、郵便局に問い合わせた。郵便局員に「とっくに郵便局に届いている。早く取りに来ないと日本に返送だよ」と言われ、あわてて郵便局に行ったという。届かなかった手紙が2通、郵便局で宮崎さんの迎えを待っていた。
 国営郵便ポス・インドネシアのアジェップ・ジャンダラ広報担当は「住所に誤りがあるなどの理由で宛先に届かなかった国際郵便物は、すべて発送元の国に返送される」と語る。しかし、目的地に到着せず、送り主の手にも戻れない迷子の手紙も多い。
 日本からインドネシアへ送られた普通郵便物は、ジャカルタ郊外のスカルノハッタ空港に到着後、すべて中央ジャカルタの中央郵便局内にある郵便物収集センターに運ばれる。地域ごとに仕分けられた後、全国各地に点在する11の主要郵便局へトラックか飛行機で運送される。主要郵便局でさらに地区ごとに分けられ、宛先に最も近い郵便局へと向かう。そこから配達員がオートバイで運ぶ仕組みだ。配達までの手順が多く、さらに手作業がほとんどのため、途中で紛失してしまうことがあるのもうなずける。
 日本の「書いて、出して、届く」という流れが当然だと思っていると、海外に宛てた手紙が届かなかった場合、ショックが大きい。しかし、「長旅」を終えて自分の元に届いた手紙を手に取り、温かみのある手書きの文字を見ると喜びもひとしお。親しい人からのものであればなおさらだ。さらに手紙は物として手元に残る。しばらく経ってから読み返すと、受け取った時の気持ちがよみがえってくる。手紙はまさに贈り物だ。
 海外にいると暑中見舞いや年賀状とも縁遠くなる。届かないかもしれないというリスクも覚悟した上で、普段メールで連絡を取っている人に、たまには手紙を「贈って」みるのもいいかもしれない。
(立命館大学4回生・高口佳菜=インターン、写真も)

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