【じゃらんじゃらん特集】お土産はフェアトレードで 生産者の自立を支援 バリ島サヌール
バリ島サヌールにある「インドネシア・フェアトレード・フォーラムの家」は、インドネシア全国にある10のフェアトレード(公正な貿易)団体が共同で商品を展示販売している店だ。それまで輸出中心だったものを国内でも広く利用してもらおうと、個別に活動していた組織が集まり、手工芸品だけでなく、食品や日用品まで幅広い商品を紹介している。当初はフェアトレードを応援したいという在住外国人の利用がほとんどだったが、ユニークなデザインや質の高さが知られるようになるにつれ、インドネシア人の間でもファンが増えている。
落ち着いた色調の木製の食器や竹を編んだエビ茶色のハエ帳はバリのものだ。どれも丁寧な作り、素朴さを残しながらも洗練されたデザインで、置くだけでダイニングの雰囲気ががらりと変わりそうだ。バリの隣のロンボック島の陶器も目を引く。独特な風合いのある形や色が印象的だ。
生産者に公正な見返りを約束するフェアトレード。価格は若干高めだが「品質や安全性にこだわり、環境にも配慮している。素材やどういう状態で作られ、それが生産者の自立を後押していることにも注目してほしい」と専従スタッフのリサ・イスミアンデウィさんは話す。
店は生産者とフェアトレードのスタッフが、問題点、価格、市場開拓、消費者の要望などについて定期的に話し合いを持つ場所でもある。生産者と買い手を結び付けるだけでなく、付加価値の高い「売れる」商品についてアイデアを出し合う場でもある。
例えば、東南スラウェシ州ブトンの織物。長い間、伝統柄の布地としてしか売られていなかったが、フェアトレード団体の指導でデザインを工夫したり、クッションカバーなどに加工したりすることで、より高値で売れるようになった。「生産者は所得が増え、子どもを学校に通わせるようになった。暮しが豊かになる例を数多く見てきた」とリサさんは言う。
生産者は農村に限らない。車のシートカバーを再利用して作った、いかにも丈夫そうなかばんや小物はジャカルタの養護施設からだ。
最近、バリ島では大型土産物店が目立つが、そうした店で販売することには消極的だ。「いいデザインはすぐにコピーされてしまう。独自性を守りながら常連客を増やして行きたい」とリサさんは話す。(北井香織、写真も)
◇Rumah Fair Trade Indonesia
Ruko Grya Sanur Jl. Bypass Ngurah Rai Sanur, Sanur, Denpasar, Bali
電話:0361-283555 営業時間:月〜金:午前9時〜午後5時
土:午前9時〜午後3時 定休日:日曜、祝日