【デジタル羅針盤】 自分の名前を検索すると
検索サイトで検索したい単語を入力すると、それに関連した単語が自動的に提案(サジェスト)される。例えば「ジャカルタ」と入力すると、「観光」「時差」などの単語が出てくる。
これは過去の検索のデータから、ジャカルタという単語とともに、観光や時差という単語が頻繁に入力されているため、プログラムが自動的に関連性の高い単語と判断し、利便性の向上のためにサジェストしている。
では、自分の名前を入力すると、どんな単語がサジェストされるだろうか。筆者の場合はラグビーや弁護士などの単語がサジェストされる。同姓同名のラグビー選手や弁護士がいるようだ。
これなら問題ないのだが、自分の名前に対してサジェストされる単語に「殺人」だの「麻薬」だのといった不名誉な言葉だったらどうなるだろうか。
サジェスト結果にネガティブな言葉が表示されることはサジェスト汚染と呼ばれる。
最近では企業が人を雇う際に採用候補者の情報をインターネットで探すのは珍しいことではない。同姓同名の他人の犯罪のため、理不尽な損害を受ける可能性は十分にある。
実際に先日、東京地裁はグーグルの検索サービスで自分の名前を入力すると、犯罪行為に関連する単語がサジェストされ不利益を被ったとの訴えに対し、グーグルに対し表示の差し止めなどを命じる判決を出した。
グーグルがどう対応するかはまだ分からないが、軽視できない問題である。
ある人名とともに悪印象な言葉を入れて検索を繰り返せば、その人物のサジェストを意図的に汚染できる。手動では無理だろうが、一秒間に何百回ものアクセスを行うようなソフトもある。応用すれば不可能ではないだろう。
こうした問題が解決されなければ、自分の子に、サジェスト汚染が起きにくい極めてありきたりな名前や歴史的な著名人と同じ名前をつけるというような行動もありうるかもしれない。(IkuZo!日本語・マンガ学校校長、元じゃかるた新聞記者 福田健太郎)