【じゃらんじゃらん特集】 華人文化、もっと知って 世界各地から寄付金 東ジャカルタ・タマンミニ

 インドネシア各州の文化や建造物などを集めた東ジャカルタのテーマパーク、タマン・ミニ・インドネシア・インダ(TMII)で、2012年10月にオープンした「インドネシア華人文化公園」が規模を拡大させている。スハルト独裁政権で弾圧された華人が文化紹介を通じ、プリブミ(土着のインドネシア人)との相互理解を深めるために開設。10年に完成した儒教の建造物・孔子廟とともに同園で最も豪華な施設となり、国内外の観光客でにぎわっている。  (赤井俊文、写真も)    

  華人文化公園に入ると、まず中国式大門と守り神の獅子の石像が目に入る。園内は三国志の英雄関羽や西遊記の三蔵法師一行、明の時代にインドネシアなど東南アジアを経由してアフリカまで航海した鄭和(チェンホー)など、中国の歴史的人物の石像が華人と中国とのつながりを演出。橋や池の休憩所も含め、記念碑や橋などの建造物の大部分が厦門(アモイ)から取り寄せた中国製だ。
 友人と訪れていた西ジャワ州ブカシ国立第34中学校3年生のアニタ・エナさん(14)は「華人の歴史に関係のある石像が迫力ある。池のある中庭の雰囲気もリラックスできる」と大喜び。今年の春節(中国正月)には、華人のバスキ・チャハヤ・プルナマ(通称・アホック)ジャカルタ特別州副知事も訪れた。
 現在は華人の伝統衣服や絵画などを展示する博物館を建設しており、2年後のオープンを目指す。さらにタマン・ミニ全体を展望できる7階建て35メートルの「宝塔」、中国・北京の紫禁城を模した劇場の建設も予定。インドネシア初の本格的な華人文化公園を造ろうと、華人有力者の寄付が次々と集まっているという。
 寄付者はすでに1200人に上る。宝塔の建設費を負担する中国語日刊紙・国際日報のテッド・シオン社長をはじめ、アメリカやフィリピン、マレーシア、台湾、香港、タイからも中国系ビジネスマンから寄付が届くという。園内の記念碑には100万ルピア以上の寄付者全員の名前が刻まれている。
 反共政策の下、漢字の使用さえ禁じたスハルト政権が崩壊したのが1998年5月。すでに15年が経過し、アブドゥルラフマン・ワヒド(グス・ドゥル)政権下で華人文化が自由化された喜びから、華人もインドネシアの民族の一つであることを再認識する人が増えた。
 同園建設を立案し、管理維持の責任者を務めるテディ・ユスフ氏は、インドネシアのことわざ「ティダ・クナル、マカ・ティダ・サヤン(知らなければ、愛せない)」が根底にあると話す。金儲けばかりで閉鎖的と批判される華人だが、テディ氏は「インドネシア社会の一員として認められるためには、華人の文化を知ってもらうことが大切だ」と強調した。

※追記(2013年5月6日)
 写真説明で「中国・明の時代に書かれた小説『梁山泊』」とあるのを、「中国の民間説話『梁山伯と祝英台』」に訂正しました。

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