イオン、モール1号店を発表 シナールマスと合弁 BSDで来年末開業
総合小売グループのイオンは8日、インドネシアでショッピングモール事業の参入を発表した。大手財閥シナールマス傘下のシナールマス・ランド社と合弁会社AMSLインドネシア社を昨年11月に設立。2014年末の開業を目指し、バンテン州タンゲランのBSDシティ内に大型モールの開発を行う。インドネシアの消費市場の拡大が続く中、今後も増えることが予想される中間層を主なターゲットに捉え、まずは20店舗の展開を目標に事業を進める。郊外型モールとしての地位の確立を目指し、ASEAN(東南アジア諸国連合)内の中核国と位置付けていく。
AMSLインドネシア社は資本金6千万ドルで、イオン側が67%、シナールマス側が33%を出資。1号店の開発、管理・運営を行う。敷地面積は10万平米、延床面積は12万5千平米で、地下1階地上4階。イオングループの総合スーパーを中核に、190店舗が入居する予定。食品関係や娯楽など明確に分けたフロア構成やゆったりとスペースを取った駐車場、インドネシアの商品を主流にしながら、競合他社にはない輸入品の取り扱いなどで差別化を図るとしている。
8日にはジャカルタで、イオン側とシナールマス側の1号店の調印式を行い、シナールマス・ランド社のムフタル・ウィジャヤ理事長、マイケル・ウィジャヤCEO(最高経営責任者)、イオンからはイオングループ・アセアン本社の尾山長久社長、イオンモールの岡崎双一社長、イオン・インドネシア社の菓子豊文社長、イオン・モール・インドネシア社の岡崎龍馬社長らが出席した。
シナールマス・ランド社は、住宅地やショッピングモール、大学、大型展示場などを備えた大規模複合開発地域として、BSDシティの開発を進めており、マイケルCEOは「渋滞のひどいジャカルタに行かずにすべてをここで済ませることができる。イオンとの協業によりインドネシアにおける郊外モールの基準を確立する」と期待を示した。
イオンは海外進出の第一歩として、1984年にマレーシア事業を開始。現在、30店弱のモールを有し、昨年にはカルフールの現法買収を決めるなど、マレーシアでの事業経験が豊富だが、尾山社長は「ASEANで一番投資するのはインドネシア。インドネシアが最大になるのは間違いない」と強調した。20店舗の実現について、現時点では土地の選定などを進めている段階のため、具体的な時期は確定していないが、「マレーシアで30年かけたものを、インドネシアでは10年でやりたい」として、買収も視野に入れながら、事業展開を加速していく方針を示した。
また同日、イオンは、西ジャワ州ブカシ県のデルタマス内で、敷地面積20万平米となる2号店を開設することを発表した。15年以降の開業となる見込み。(上野太郎、写真も)