災害訓練の大切さ共有 八戸高専、地元高校生と キズナ強化プロジェクト
東日本大震災からの復興を外国に発信するため日本政府が取り組む「キズナ強化プロジェクト」で来イした青森県・八戸高専の生徒14人は4日、学校間交流に力を入れるバンテン州スルポンの国立イスラム寄宿学校インサン・チュンドゥキアを訪れた。インドネシアの同世代と意見交換、災害訓練の大切さを共有した。
「僕たちには被災地を正しく伝えていく義務がある」。同校の生徒約20人を前に、震災の影響などについて話した八戸高専の道上和馬さん(16)は被災した岩手県野田村の出身。亡くなった友人の父親や倒壊した家々が今も胸に残る。
八戸高専は死者・行方不明者約1万8千人を出した東日本大震災について発表、宮城県名取市の町が津波でさら地になった写真を見せた。どう復興していけばいいのか。若年層の流出や原発事故の影響、失われた雇用など課題は山積する。
津波対策の一つに、京大防災研究所が提唱する、海に浮かぶことで波を軽減する巨大人口島「メガフロート」や、風評被害を避けるために汚染度を検査する漁協の取り組みなどを紹介した。
生徒との討論では、災害に対する予防訓練をすることの大切さを呼びかけた。道上さんは「日頃から心がけていることで救われる命がたくさんあるはず」と話した。
発表を聞いたソフナさん(17)は「インドネシア人は災害があればすぐに混乱してしまう。日本から災害に対する考え方や対策技術を学ぶことができた」と話した。
インサン・チュンドゥキア校の生徒は、2004年のスマトラ沖地震・津波や06年の中部ジャワ地震について紹介した。
同校は1996年、ハビビ元大統領の肝いりで設立。科学技術応用評価庁(BPPT)と連携し、イスラム教育と科学技術を重視したカリキュラムを編成。日本にも留学生を送り出している。 (上松亮介、写真も)