2国間の補完性が鍵 ジェトロとCSIS 国際シンポジウム
日本貿易振興機構(ジェトロ)とシンクタンクのインドネシア国際戦略研究所(CSIS)は4日、地域経済統合の方策について国内での議論深化につなげようと、シンポジウム「日イ関係と東アジア経済統合」を開いた。地域経済統合の議論が世界的に加速し、2015年のASEAN(東南アジア諸国連合)経済共同体(AEC)発足も迫る中、日イ連携強化の可能性を探った。
日本インドネシア国交樹立55周年、日ASEAN友好協力40周年を記念するとともに、AEC議論のキックオフ・イベントとして位置付けるシンポジウム。政界、財界、学界から講演者を招き、2国間、多国間の関係について意見を交換した。
来イした石毛博行・ジェトロ理事長は、昨今の日本の経済状況を説明し、安倍晋三首相が就任後初の外遊先に選んだインドネシアの重要性が高まっていることを指摘。インドネシアから日本への輸出は、天然ガスや石炭などの資源が半分以上を占めるが、自動車・電機関連が近年上昇しており、今後の2国間の経済関係は補完性が鍵になると話した。
ジェトロ・ジャカルタ事務所の富吉賢一所長は「AECが発足すれば、インドネシア市場の巨大さというの魅力はかすむ」と話す。インドネシアの人口は、ASEANの4割。ASEAN、インド、中国の三極が世界市場の中心になり、15年以降は三極間での投資呼び込み競争の加速が見込まれる。富吉所長は「これまでのような無策のままではインドネシアへの投資は集まらない」と語った。
(田村慎也、写真も)