党首職権は「凍結」 大統領発表受け地元紙 民主党汚職疑惑 挙党態勢構築目指す

 西ジャワ州ボゴール県のハンバラン競技場建設汚職へのアナス・ウルバニングルム党首の関与が取りざたされるなど、混乱が広がる民主党で、ユドヨノ大統領(党最高顧問会議議長)が、党運営は「最高指導者が指導する」と発表したことを受け、地元メディアでは、同氏が実質的に党を統制していくとの見方を示す一方、実質的にアナス氏の職権を凍結したとの観測が浮かんでいる。急速に低下する党の支持率とは対照的に、ユドヨノ氏の自身の支持率は比較的高い。指導力を印象付けることで、挙党態勢を築き、党勢浮揚につなげたいとの思惑がありそうだ。
 
 ユドヨノ氏は8日夜の会見で、「法律問題に対処させるため、アナス氏の職務を軽減する」と発表。形式上、アナス氏は党首職にとどまることになるが、各紙とも、ユドヨノ氏がアナス氏から党の主導権を受け継ぐことで党内の不協和音の収拾を図ったとする見立てで一致した。
 ユドヨノ氏は「2014年の選挙のためではなく、党内の浄化と再建に主眼を置いた」と述べ、選挙目的との見方をけん制したものの、英字紙ジャカルタポストは「ユドヨノ氏は今後、選挙に向けて、悪材料を取り除いていく」と説明。有力紙コンパスも一面トップに「同氏が党の全権を掌握した」と大見出しを打ち、党の全政策や戦略は大統領傘下の最高決定機関が決めるという、体制の変更点を強調した。
 一方、コラン・テンポは、党関係者の話として、「大統領もアナス氏の退陣が望ましいと考えたが、世論調査の正確性を疑問視するアナス氏が反対した」との内情を伝えた。
 幹部に相次いで持ち上がる汚職疑惑が混乱の大本にある。ユドヨノ氏は綱紀粛正に向けた方策も打ち出した。党の基幹人員には納税などの証明書を提出させるなど、財産・資金管理の透明化も徹底させ、規定についての誓約書を書かせる方針を提示。規定順守を大統領、国会議員、州知事選の党公認候補の条件とした。
 最近の各種世論調査では民主党の支持率が8%台を割り込むなど、同党は03年の結党以来の危機とされる。中枢幹部がアナス問題に早急に決着を付けるよう公然とユドヨノ氏に求めるなど、党内の混乱ぶりは連日メディアに報じられていた。ユドヨノ氏は「互いに批判し合うような発言があり、賢明な広報がなされていない」と指摘。ガイドラインを作成した上で、党として認めた者にのみ記者会見やテレビ番組などへの出演を許すとした。
 アナス氏の関与が指摘される疑惑は、ムハンマド・ナザルディン元党幹部(一審で禁固4年半)が暴露。アナス氏の妻が理事を務めていた企業が建設事業受注で汚職に関わったとされる。2010年の同党党首選で同氏の選挙資金に公金が流用された可能性があり、汚職撲滅委員会(KPK)が立件に関心を持っており、捜査の行方が今後の焦点になりそうだ。(道下健弘、吉田拓史)

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