民主党金庫番に有罪 ユドヨノ大統領の支援者 禁錮2年8月の実刑 農園開発許可で贈賄
中部スラウェシ州ブオル県のアブラヤシ農園開発をめぐる汚職事件で、30億ルピア(約2880万円)の賄賂を県知事に渡したとして、贈賄罪に問われた女性実業家シティ・ハルタティ・ムルダヤ被告の判決公判が4日、南ジャカルタ・クニンガンの汚職特別法廷で開かれ、裁判長は禁錮2年8月と罰金1億5千万ルピア(求刑同5年と同2億ルピア)の判決を言い渡した。被告は控訴する方針。ユドヨノ大統領の支持母体・民主党を資金面で支えてきた有力者に下った軽い量刑に対し、批判が続出している。
判決文によると、ハルタティ被告は昨年6月、アムラン・バタリプ元知事と中央ジャカルタの高級ホテルで面会し、事業許可と引き替えに賄賂を渡すことで合意。同月、2回に分け、両者とも部下を通じて計30億ルピアを授受した。
一方で判事は「被告はブオル県の開発に貢献した」として、被告が保有する起業が行ってきた地域開発事業に一定の評価を与え、求刑より軽い量刑とした理由を説明した。
これまでの公判で、ハルタティ被告とアムラン元知事が交わした電話の会話記録が公開され、許認可で便宜を図ることへの報酬を渡すことで合意したことが明らかにされた。
これによると、10億ルピアの賄賂は同県の農園開発4500ヘクタール分、20億ルピアは5万ヘクタール分の農園事業権と事業権(HGU)取得のためとし、被告の部下への便宜供与を裏付ける有力な物証となった。
ハルタティ被告は、国内の仏教団体を統括するインドネシア仏教徒委員会(ワルビ)委員長で、民主党最高顧問会議委員や国家経済委員会委員も歴任していたが、容疑者に断定され辞任した。
2009年のユドヨノ大統領再選の立役者の1人。夫のムルダヤ・ウィディヤウィマルタ・ポー氏とともに、セントラル・チャクラ・ムルダヤ、ブルチャ・グループを通じ、30以上の企業を擁する財閥を築いた。全国各地で発電や農園開発事業に参入。南ジャカルタのポンドック・インダ・モールや中央ジャカルタ・クマヨランの国際展示場(JIExpo)など不動産経営も手掛け、民主党に巨額の資金を提供した。
民主党は11年以降、幹部の汚職疑獄が次々と発覚。中央執行委員会会計局長のムハンマド・ナザルディン(1審で禁固4年半)に始まり、副幹事長のアンジェリナ・ソンダク(同4年半)、元党首候補の幹部アンディ・マラランゲン元青年スポーツ担当国務相(容疑者に断定され閣僚辞任)ら有力幹部が捜査対象となり、自身の汚職関与も取り沙汰されているアナス・ウルバニングルム党首の責任問題に発展している。