渋滞軽減に長距離バス バリで巡回 運行開始から2カ月 「トランス・サルバギタ」

 バリ州政府が南部の交通渋滞と自家用車の利用を軽減するために導入した長距離巡回バス「トランス・サルバギタ」が運行を開始してほぼ二カ月が経過した。いつ見ても人は数えるほどしか乗っていないが、最終的には、デンパサール市、バドゥン県、ギアニャール県、タバナン県にまたがる輸送機関として、住民、観光客を問わず幅広く利用されることを目指している。現在運行している二路線のうち、ギアニャールのバトゥブランとヌサドゥアを結ぶバスに乗った。
 午後二時、バイパス沿いにあるサヌールのバス停に座った。五分ほどで青い車体の真新しい大型バスが到着。オレンジ色のバリ風の制服を着た若い女性の車掌に迎えられ、エアコンが効いた車内に座った。
 乗客は私を含めて八人だけ。スピーカーから流れるラジオのハウスミュージックがちょっと耳障りだが、周りの車を見下ろす車内はとても快適だ。読書にふける青年、眠っている若い女性もいる。運賃は一律大人三千五百ルピア、学生二千五百ルピア。サヌールからヌサドゥアまでタクシーを利用すれば十万ルピアはかかるので、遠回りを我慢すればこれは格安だ。
 たまたま乗り合わせたバリ在住の愛子さんは遊びに行くのに一カ月前から頻繁に利用しているという。愛子さんは「バリにはベモ(乗り合い自動車)が走っているが、暑いし、汚いし、盗難の心配もあった。これなら安心して乗れる。待ち時間は長くても二十分程度。皆、自家用車をやめてバスに乗ったらいいのに」と赤信号を前に道路一杯に並んだ車を見ながら話した。
 初めて利用する人もいた。以前、ジャカルタに住んでいたというジルバブ姿のインドネシア人中年女性はジャカルタのバスウェイと比較し、「専用レーンがないので渋滞に巻き込まれると面倒だが、自家用車に乗るよりずっと楽」とバリ島でのバス初体験に満足していた。
 営業は午前五時から午後九時まで。ターミナルでは客の有無にかかわらず十五分ごとに出発する。バトゥブランからヌサドゥアまでは道路の込み具合によるが一時間半から二時間で着くそうだ。
 バリ州運輸局トランス・サルバギタ担当チームのグデ・ブダヤさんは「現在の利用率は三〇%を超えており、当面の目標は達成した。平日はいつも空いているが、週末は遊びに利用する人が多く立ち客もいるほど」と話す。
 しかし通勤客など利用者をさらに増やすには、道路混雑時でも時間内に到着することやバス停やバスを降りてから目的地までのアクセスの良さが求められるだろう。これについて、グデさんは「バス停まで乗客を運ぶ支線バスの運行は来年から徐々に始まる予定。特に混雑がひどいデワ・ルチ像の交差点付近にはバス専用レーンを設ける計画もあり、こちらも来年から工事が始まる予定」と説明した。

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