ごみ処理施設拡大目指す インドネシアモデル確立を 西原商事
北九州市で廃棄物収集運搬業を扱う西原商事の西原靖博専務取締役(32)が、東ジャワ州スラバヤで実施する「リサイクル型廃棄物中間処理施設パイロット事業」の拡大を目指し、17〜19日の日程でジャカルタの関係省庁を訪問した。処理費用を大幅に削減できる事業を進め、「世界一安い廃棄物処理を目指す」と話す西原専務は「今回の事業を『インドネシアモデル』として確立させ、他地域にも普及させたい」と意気込んでいる。
同社は、北九州市などと協力し、2011年11月から事業を始めており、スラバヤ市に1日20トンの処理能力を持つごみの分別工場と堆肥化処理施設を建設。2月の稼働を目指している。一連の事業では日本の政府開発援助(ODA)で補助金約5000万円を活用する。
今回の訪問は、2月に終了する事業をより継続的に普及させるために、新たなODA案件として、スラバヤだけでなく、インドネシア全体のごみ問題を解決するため、中間処理施設を複数の都市へ展開することを目指すもの。
同社によると、スラバヤ市では1日当たり、約1200トンのごみが排出されており、市内に1カ所しかない最終処分場は処理能力の限界を迎えようとしているという。ごみ処理には焼却処分場の建設や新しく最終処分場を建設する方法もあるが、費用が掛かりすぎるために実現は難しい。
同社の事業では、最終処分場へ持ち込まれるごみのうち、約80%を占める生ごみを、分別工場で働く従業員が手作業で分別、堆肥化させる。分別工場を通すことで、生ごみの堆肥化と分別の効率化を行い、最終処分場へ搬入されるごみが約30%に、処理費用が現在の10分の1に削減できるという。
西原商事は将来的には生ごみを堆肥化した肥料の販売や、ごみの焼却発電事業を実施する予定だ。
■国が一体となって解決を
西原専務は1980年、北九州生まれ。小学生だった当時、「日本全国がごみだらけだった」時代に育った。「ごみ処理の仕事も誰もやりたがらなかったが、すでに廃棄物処理をしていた父親の仕事を小学生の時から手伝っていたから、『大人になったらごみに関連した仕事をする』と当たり前に考えていた」と廃棄物処理業への思いは人一倍大きい。
また、これまでに米国などさまざまな国でごみ処理の仕事を視察し、「ごみというのは国の問題」が持論。インドネシア政府が一緒になって環境を考えることが「インドネシアのごみ問題を解決することにつながる」と今後もスラバヤだけでなく、他都市でもごみ処理事業に取り組んでいくという。(高橋佳久、写真も)