憲法裁、国際校に違憲判決 「平等な教育に反する」 高額学費で授業は英語

 憲法裁判所は8日、国際教育推進のため、インドネシア国内の地方自治体に国際標準モデル校(RSBI)か国際標準校(SBI)のどちらか1校の公立学校の設置を義務付けた教育法(法律2003年第20号)第50条3項は違憲とする司法判断を下した。
 マーフッド憲法裁判所長官は「この条項は国民に教育の平等な機会を与えておらず、教育の商業化をもたらした」と指摘。RSBIとSBIは普通の公立学校より高い授業料を課し、富裕層の生徒のみが質の良い教育を享受できるシステムとなったと説明した。
 違憲審査を請求したのは、インドネシア教員組合(FSGI)や非政府組織(NGO)汚職監視団(ICW)、保護者ら。同条項は、すべての国民が教育を受ける権利を明記した憲法第31条に違反すると主張。教育格差の是正や公立学校の教育の質、施設の改善などに取り組むよう訴えていた。
 この判決を受け、ムハンマド・ヌー教育文化相は9日、現行のRSBIとSBIは今年度中はこれまで通り運営し、カリキュラムなどの改定は行わないと言明。来年度から学校の種類変更などを実施するが、国際教育推進という本来の目的は継承しながら、形態を変えていく必要があるとの認識を示した。
 国会第10委員会(教育、観光、スポーツ)は近く教育文化相を召喚し、既存の学校に対する措置について協議する。同委のアグス・ヘルマント委員長(民主党)は「学校の名称変更に留まり、実態は現状維持といったことが起こらないよう監視していく必要がある」と述べた。
 RSBIとSBIは自治体が指定した小中高校・職業訓練校約1300校で、授業を英語で行うのが特徴。補助金は、学校の実績に基づいて分配している。12年度、RSBIの小学校に年間2億ルピア、中学校に3億ルピアの補助金が支給された。
 RSBIに指定されているジャカルタの国立第8高校の担当者はじゃかるた新聞の取材に対し、「憲法裁の決定を受けて会議を開き、対応策を決める。他の学校に比べて学費が高いという批判は知っている。中央政府や州政府と今後について協議していく」と語った。(小塩航大)

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