5月めどに発売 国産電気自動車4車種 地場製造会社
国産電気自動車(EV)製造の気運が高まる中、地場の自動車部品会社が、電気自動車4車種の販売を5月をめどに開始すると明らかにした。財政を圧迫する補助金付きガソリンの消費量削減を目指す政府は優遇税制を策定し、生産・販売を後押しする方針だが、充電スタンドの設置も遅れており、普及への道は遠そうだ。(田村慎也)
製造を進めているのは、ディーゼル・エンジンや鉄製部品を生産するブキット・ジャヤ・アバディの子会社、グレイト・アジア・リンク社(グレイン社、東ジャワ州スラバヤ)。地元メディアによると、同社のラフィ・デサイ社長は、千億ルピア(約9億円)を投じ、2012年に東ジャワ州スラバヤで年間2万台の生産が可能な工場を建設したと説明した。
ラフィ氏は、国産車製造に意欲を燃やすダフラン・イスカン国営企業担当相が、開発を支援すると指名した5人のうちの1人。それぞれが政府・大学機関などの支援も受けながら、開発を進めてきた。
グレイン社は4車種の試作品を昨年末に完成させたという。6時間の充電で120キロメートルの走行が可能だとしている。
全車種とも「エルフィ」ブランドとする予定で、販売開始を目指す4車種は、ピックアップ(想定価格8千万ルピア)、多目的車(MPV、同1億3千万ルピア)、コンパクト・カー(同1億5千万ルピア)、スポーツ多目的車(SUV、同1億7千万ルピア)。
部品の国内調達率は40%。販売価格の引き下げを目指し、今後5年間で65%まで高める計画。
工業省のブディ・ダルマディ最先端技術活用主要産業総局長は「電気自動車の普及に向け、最大限の支援をしたい」と述べ、低燃費車に対する優遇措置の策定を急ぐ方針を示した。
昨年の国内自動車市場では、非ガソリン車の割合は0.01%にも満たない。電気自動車のための充電スタンドの設置を進めるには、政策・制度、財源面での政府の後押しが不可欠だが、近年の自動車保有台数の増加で、ガソリンスタンドの数自体も不十分との声も出ており、充電スタンドの設置を優先事項とするのは難しそうだ。
政府は「国民生活への配慮」として、歳出の1割以上をガソリン向けの補助金に充てているが、年々拡大する消費量が財政を圧迫しており、補助金削減が大きな課題となっている。