【火焔樹】 一味違う花を
日本の若い女の子がインドネシアで芸能活動を始めると聞いたとき、今も昔も日本の女性の力はとても強いなと感じた。インドネシアの男性と結婚され海を越えた数多くの日本人女性の「 一途な愛(cinta abadi)」と「アジア1の女優になりたい」と夢を抱えてやってきたJKT48の留学生の「一途な思い(hasrat)」が重なって映る。インドネシアで世界に通じる女優になりたい夢が叶えられるのかと思う人は多いかもしれないが、知る人ぞ知る芸能大国インドネシアでの活動は彼女たちの成長に大きな意味を持つと思う。
それは、超高校生投手として日米のスカウトから注目を浴びた大谷翔平投手が当初、メジャー挑戦を目指したこととも似ている。アメリカへ行けば、素質はあっても様々な問題で才能を開花させられずに埋もれてしまうリスクがある一方、過酷な生存競争の中、見るもの接するものがすべて日本と異なる異文化の中で揉まれて身に付ける「根性(semangat)」は並大抵の強さではないだろう。
あなたたちがこれから直面するであろう体験は、日本人が一番苦手とする異なったものへの対峙であり、日本にいてはきっと触れることすらできないあらゆる感覚、内省に通じる。これらの体験は、原色が眩しい南国の花に日本独特の淡い色が混ざった一味違う花を咲かせていくための貴重な時間に必ずなるだろうと期待する。異文化の中で葛藤を繰り返し、海を越えて愛を成就させた日本人女性たちと同じように、大谷君に代わって夢を叶えてほしい。
最後に、時間のルーズさに驚いたとのこと。そこは遠慮せずに「みんなビシッとしろよ」とか「時間を守れないやつは仕事をする資格はない」など、日本の良いところははっきり伝えてほしい。「良いことは良い」「悪いことは悪い」とはっきり言えるようになってこそ世界に通じる第一歩であると、おじさんは思うのである。(会社役員・芦田洸)