首都に井戸1万本設置 地道な取り組みも重視 地下16メートルに水路も ジョコウィ知事 試金石の洪水対策
ジャカルタ特別州のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)知事は26日、洪水対策として、雨水を地下に染みこませる浸透井戸を州内に計1万本を設置する方針を明らかにした。これまで進めてきた放水路や河川の浚渫(しゅんせつ)などの大型工事に加え、地道な取り組みを始めることが急務と判断。ショッピングモールやアパートメントなどの大型施設の運営者に対し、貯水池などの設置を義務付ける規則の策定も加速させる構えで、新知事の試金石となっている洪水対策への手腕が試される。(岡坂泰寛)
州は今年から予算を拠出し、専門家らによる対策チームの調査を基に、氾らんが頻発する主要河川上流の西ジャワ州デポックやボゴールで浸透井戸を設置してきた。
浸透井戸には、帯水層からの過剰な地下水のくみ上げによって起きる地盤沈下の進行を緩和する効果もあり、現在、州内でも公園などの公共施設にも設置されている。ジョコウィ知事によると、洪水が頻発する州内の13地域で設置を急ぐ。
浸透井戸の設置による地下水汚染の懸念について、ジョコウィ知事は「改善していく」と語った。
大型施設の運営者に対する貯水池などの設置義務付けは、公共事業省人間居住総局が規則の詳細を詰めている段階。地元メディアの報道によると、貯水池や浸透井戸の設置を義務付けるほか、排水設備の基準などを設ける見込み。
ジョコウィ知事は同日、南ジャカルタのMTハルヨノ通りから北ジャカルタのプルイットにかけ、雨水を取り込む地下トンネルを設置する方針も表明した。
ジョコウィ知事は「(州としては)まだ青写真の段階」としながらも「来年1月初旬には最終決定すると約束する」と語った。
同知事によると、長さは23キロ、地上からの深さは約16メートルで、完成には4、5年掛かるとみられる。建設費用は16兆ルピア(約1400億円)に上る見込みで、民間からの資金調達も視野に入れている。