2000万人 クリスマス祝う 「他宗教も尊重を」 ポソで爆弾テロ未遂

 インドネシアの人口の約9%を占めるキリスト教徒2千万人強は24、25日の両日、イエス・キリストの降誕の日に当たるクリスマスを祝った。各地で警察や国軍が厳戒態勢を敷く中、中部スラウェシ州ポソで爆弾テロ未遂事件があったが、他の地域では混乱なく礼拝を行った。週末からの4連休となり、各地の行楽地は観光客でにぎわった。

 イスティクラル・モスクと向き合う中央ジャカルタ・ガンビルのカテドラル(大聖堂)では24日に3度、25日に4度の礼拝があった。今年は環境への意識を高める目的で使用済みのバティックで作ったインドネシア「オリジナル」のツリーが登場。玉や靴下などで飾り、キリスト教徒にとって重要な日に華を添えた。
 両日はそれぞれ計1万8千人、6千人が祈った。教会に入れる900人以外は外の敷地に並べたパイプ椅子で、テレビの中継映像を通じて説教を聞いた。警察、国軍兵士約300人が警備にあたったがトラブルはなかった。
 24日、説教をした神父のエコ・スリストヨさん(31)は「対立は対立を生む」と述べ、一部の強硬派勢力にも寛容であることの重要さを呼び掛けた。
 地元メディアによると、ジョコ・ウィドド・ジャカルタ特別州知事はカテドラルを訪問。キリスト教徒の信者らと祝福のあいさつを交わし、「みなさんがクリスマスを安心して祝えることを祈っています」と語り掛けた。
 一方、人口の約90%を占めるムスリムはモスクに行って祈りを捧げたり、ショッピングモールや行楽地などに家族で出掛けたりして週末からの4連休を過ごした。
 クリスマス当日、中央ジャカルタ・メンテンのチュット・ムティア・モスクにはいつも通り、祈りの時間を告げるアザーン(礼拝の呼び掛け)が鳴り響いた。ムスリムはサロン(腰巻き)やペチ(イスラム帽)を身に付けて祈りを捧げた。
 経営コンサルタントのアシム・アディウンさん(41)は「ムスリムは他宗教の人々を尊重すべきだ。信教の自由は憲法で保障されている」と話す。西ジャワ州ボゴールのヤスミン教会などが建設許可を強硬派や住民に問題視され、封鎖される事件も起きているが「早急に許可すべき。ユドヨノ大統領は宗教間の対話を促進させるよう働き掛けるべきだ」と語った。
 中央ジャカルタのショッピングモール、グランド・インドネシアには休日を家族や友達で過ごす人々が押し掛けた。
 友人と買い物に来ていた主婦のエシ・アングライニさん(28)は「私はムスリムだけど、クリスマスはキリスト教徒の友達と一緒にパーティーをする予定」と話し、「私の家の近くの教会では警備があったけど、いらないと思う。ムスリムの強硬派はいても、キリスト教徒と分かり合うことができるはず」と語った。(堀之内健史、小塩航大、写真も)

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