事前の国内研修開始 看護師・介護福祉士候補 マッチング終え、勉強に専念
経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士候補者の受け入れ事業で、半年後に訪日を予定する候補者157人の事前研修が14日、南ジャカルタ・スレンセン・サワの教育文化省語学教員学習センターで始まった。日本語や風習の基礎を学ぶ。昨年は研修中に受け入れ機関とのマッチングを図ったが、受け入れ先が決まるかどうかの不安の中で勉強しなければならなかったり、受け入れ先が見つからなかった人もいたりしたため、今回は事前にマッチングを済ませ、準備段階での負担軽減を図った。(道下健弘、写真も)
研修生の内訳は、看護師候補48人、介護福祉士候補109人。国内研修修了後、日本でさらに6カ月間の研修を受け、受け入れ先の病院や福祉施設で働きながら、国家試験に向けた勉強を進める。
今回はインドネシア政府の募集に応募した候補者は、10月ごろから日本側の受け入れ先関係者らと面談などを実施。決定者のみ研修に参加した。
2008年に始まった候補者派遣をめぐっては、長期間の研修や日本での就労を経ても、低調な合格率(今年は看護師約13%、介護士が約37%)など課題が山積み。国内研修は10年の3カ月から、昨年は6カ月間に拡充するなど、5年を経てもなお試行錯誤が続いている。
昨年マッチングに失敗したため、国内研修後も訪日できなかったイスヤディ・ドディクスネンダルさん(23)は介護福祉士に再挑戦。「日本は美しい国で、医療や介護の技術も高い。しっかり勉強して国家試験に合格したい」と意気込む。原則的に3年後の国家試験に合格できなければ帰国しなければならないが「日本での経験は国内での再就職でも役に立つはずだ」と前向きだ。
国内研修は国際交流基金が請け負う。候補者は、平日は7時間、土曜日は午前中の研修を通じ、日本での生活や国内研修に必要な日本語の基礎と文化、風習についての研修を受ける。
同日の開講式には、在インドネシア日本大使館の牛尾滋公使や同基金の小川忠ジャカルタ日本文化センター所長、アデ・アダム・ノウ労働者派遣保護庁副長官が出席。副長官は、韓国のインドネシア人労働者受け入れが年間8千人に上ることを引き合いに、将来的には看護師・介護士だけでなく、他の分野でも正規の労働者を受け入れるよう、日本政府に注文を付けた。