3イン1 来年廃止へ 代替案は番号規制 首都の渋滞対策

 ジャカルタ特別州は交通規制「3イン1」を来年3月までになくす方針を固めた。1992年に導入され、形骸化した同規制を改変し、深刻化する渋滞に対処するのが狙いだが、代替施策案として、四輪車と二輪車を奇数と偶数のナンバープレートに基づいて二分し、首都中心部の大通りへの乗り入れ規制が浮上、効果を疑問視する声も出ている。(吉田拓史)

 ジョコ・ウィドド・ジャカルタ特別州知事は10日、州庁舎で「3イン1制度を3月までに廃止する」と語り、代替策としてナンバープレート規制案を挙げた。3イン1の違反者を取り締まってきた警視庁も同案で同意したという。
 特別州は同案の調査研究を進めている。これまで検討した案では、対象路線で平日午前6時から午後8時まで、奇数の日付には奇数ナンバー、偶数の日には偶数ナンバーの車両の進入をそれぞれ規制することや、ナンバープレートか車体前部に偶数、奇数を区別する緑と赤のステッカーを貼って識別する。
 対象路線は未定だが、3イン1規制区域のほか、トランスジャカルタのバス専用レーンがある大通りへの導入も検討している。
 警視庁によると、10月時点でジャカルタの登録車両は840万台で、うち4輪車273万台、2輪車564万台などとなっている。ナンバー規制導入で約16%の渋滞緩和を見込む。
 3イン1は午前7時―同10時、午後4時半―同7時の朝夕、規制区域を走行する自家用車に対し、3人以上の乗員を義務付けるもの。規制は92年に朝のみで採用され、03年に朝夕に拡大。だが、規制区域前で数合わせとしてチップと引き替えに自動車に乗り込むジョッキーが増え、監視体制の不備も相まって規制の形骸化が指摘されていた。
 特別州はこれまで規制改革を模索。昨年7月以降ガジャマダ通り、ハヤム・ウルック通りの路上駐車取り締まりを強化し、渋滞が緩和されたとの判断から今年9月、両通りの3イン1の対象区域を縮小。シンガポールに習った電子課金案も浮上した。

■掛け替えの抜け穴も
 だが、ナンバー規制はプレートの掛け替えが抜け穴になる恐れがある。中央ジャカルタ・ベンヒルのプレート露店主、アディク・ティアさん(45)は、登録車両のナンバープレートを製作してきた。「通常必要なプレートは自動車の前後に使う2枚だが、予備として3、4枚作ることもある」。プレート製造は1枚につき5万―8万ルピアと安価で2時間ほどで完成する。余分に作ってプレートを融通し合うことや、番号を偽ってプレートを作ることで偶数と奇数の両方のプレートを持つ運転手が出ることがありうる。
 3イン1が生んだジョッキーという職も難しくなりそうだ。中央ジャカルタのホテル・インドネシア近くで、スディルマン通りに進入する自動車に向けて客待ちをしていたシングルマザーのスティナさん(39)は毎夕、娘と一緒に路上に立つという。「ボゴールから1時間かけて来ている。廃業になったら他の職に就くのは難しく、生活が危うくなる」と語った。

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