「あの街でまた会おう」 500人、震災への願い込め 学生劇団en塾

 インドネシア人学生日本語ミュージカル劇団「en塾(エンジュク)」は9日、ジャカルタ日本人学校(JJS)体育館で、劇団員や大学生、日本人約30人など計500人による日本応援曲「あの街でまた会おう」の合唱イベントを開催した。東日本大震災からの復興への願いを込めて熱唱した。
 同曲は10月の同劇団の公演に向けて作られたもの。歌詞に故郷を思う気持ちを込めたことから震災で故郷から避難した被災者へ向けて「きっと帰ることができる」というメッセージを伝えようと同イベントを企画した。合唱の様子を撮影し、動画共有サイト「ユーチューブ」に投稿し、「故郷への思い」を届ける。
 集まった参加者らは事前にユーチューブを通じ、歌を何度も聞き、それぞれ練習に励んだ。全員で歌を合唱するのはこの日が初めて。本番前のリハーサルでは、15人ほどのグループに分かれて日本語の発音を確認した。
 体育館内は蒸し暑く、参加者の額には汗がにじむ。迎えた本番。500人の思いを込めた歌声が体育館内に響いた。「みんなで笑い みんなで歌い、みんなで喜びを分かち合ったあの街でまた会おう」
 参加者らは口を大きく開け、全身で感情を表現した。本番が終了すると、参加者らは抱き合ったり、握手を交わすなど達成感を分かち合った。
 友人の紹介で参加したハムカ大学3年生のリリン・トゥリジャヤンティさんは「日本を襲った2年前の津波の映像が頭に残っている。私が好きな日本を元気付けることをしたかった。私たちの歌声で元気を届けたい。今日は友人に誘われて参加した」と話した。
 小学5年生の息子と一緒に参加した高橋麻記子さんは「インドネシアの学生が日本のことを思って歌を届けるということを聞いて何か一緒にしたいと思った。少しでも被災した人々を元気にしたい。インドネシア人の日本を大切に思う姿勢に感激した。今日はとても有意義な時間を過ごすことができた」と語った。
 参加者らは全員で三本締めをしてイベントを締めくくった。
 劇団顧問の甲斐切清子さんは「みんなの頑張りにとても感動した。日本の歌を全員で歌うという高いハードルを見事クリアし、素晴らしい歌を響かせてくれた。震災の記憶は風化させてはいけない。元気を少しでも多く届けられたらうれしい。今後も何かの形の貢献したい」と笑顔で語った。
 今回のイベントで撮影された映像は今月中にユーチューブに投稿するという。(小塩航大、写真も)

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