アンディ国務相辞任 ユドヨノ政権に打撃 求心力低下に拍車か 大統領側近の民主党幹部 汚職の容疑者断定で

 ユドヨノ大統領の出身母体で国会第1党・民主党幹部のアンディ・マラランゲン青年スポーツ担当国務相は7日、西ジャワ州ボゴールのハンバラン競技場建設費の不正流用に関与した疑いで6日に独立捜査機関・汚職撲滅委員会(KPK)に容疑者に断定されたことを受け、辞表をユドヨノ大統領に提出した。大統領は同日、辞表を受理した。現職閣僚が容疑者に断定されたのは初めて。大統領側近のアンディ国務相の辞任が、足下の民主党の汚職騒動ですでに求心力の低下を指摘されていたユドヨノ大統領の政権運営に打撃を与えることは必至。2014年に2期の期限を終え、退任する大統領のレームダック(死に体)化が加速する可能性もある。
 
 後任が決定するまで、アグン・ラクソノ公共福祉担当調整相が青年スポーツ担当国務相を兼任する。アンディ氏は民主党の最高顧問会議事務局長も辞任する。
 ユドヨノ大統領は同日、辞表受理後に記者会見を開き、アンディ国務相は、職務の円滑な遂行が不可能になったことや、それによる政権運営への支障、今後の司法手続きへの対応に専念することを辞任の理由に挙げたと説明した。
 汚職などの問題を抱えた場合に辞任するということについて「良い見本」になると強調。過去最多のメダルを獲得した昨年のSEAゲーム(東南アジア選手権大会)を挙げ、「問題を抱えていたが、少なくない功績を残した」と評価した。
 アンディ国務相も同日昼に会見し、KPKが自身を容疑者に断定し、海外渡航禁止処分を下したことは「辞任するのに十分な理由」と説明した。その上で「私に掛けられている多くの嫌疑は事実ではない」と断言。「真実と正義が勝つ」と述べ、今後の取り調べで無実を証明していく姿勢を示した。
 大統領は同日、ジョコ・スヤント政治・法務・治安担当調整相とともに、アブラハム・サマッド委員長らKPK幹部と会談。ジョコ氏によると、国家機関の汚職撲滅へ向けた対策について意見を交わし、アンディ氏に関して具体的な協議はなかったという。
 KPKは6日、アンディ国務相とともに、実弟で政治コンサルタント機関FOXインドネシア代表のチュル・マラランゲン氏と国営建設会社幹部のアリフ・タウフィックラフマン氏にも海外渡航禁止処分を下した。11日にチュル、アリフ両氏を事情聴取する予定で、事件捜査を加速させる方針を示している。アナス・ウルバニングルム民主党党首らの関与も明らかになるかが焦点となる。

■次期選挙にも影響か

 ハンバラン競技場建設に絡む汚職疑惑は、元民主党幹部で別の事件で逮捕されたムハンマド・ナザルディン元民主党幹部(1審で禁固4年半)が暴露して発覚した。
 ナザルディン被告は、アンディ国務相が事業に関する協議に関与し、公金の不正流用に対する監督責任があると訴えてきたほか、公金が10年の民主党党首選で当選したアナス氏の選挙資金に流用されたと告発していた。これまで容疑者に断定されていたのは青年スポーツ担当国務相事務所のデディ・クスディナル会計・総務局長のみで、捜査の進展の遅さに批判の声も上がっていた。
 同事件などで相次いで民主党幹部の汚職の関与疑惑が持ち上がったことで、既成政党と異なるクリーンなイメージとユドヨノ大統領の人気で09年に第1党へ躍進した民主党への支持は急落した。14年の次期選挙で同党が議席数を大きく減らすのは必至とみられている。
 09年からのユドヨノ第2期政権では、蔵相を務めていたスリ・ムルヤニ氏が10年5月に、破綻した銀行の救済に絡む汚職疑惑で辞任に追い込まれている。

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