「ユドヨノ政権下で飛躍」　「経済成長が非常に安定」　福田元首相、大統領と会談　日イ協会が大型視察団

　日本インドネシア協会会長の福田康夫元首相（前自民党衆議院議員）を団長とする同協会のインドネシア視察団は３日、中央ジャカルタの大統領宮殿でユドヨノ大統領と約５０分間、会談した。インドネシアで長年事業展開する企業の幹部を中心とした同協会の視察団は、随行員も含めると３０人を超え過去最大規模。同日、大統領をはじめ、閣僚と相次いで会談し、今後の両国関係などについて、意見を交換した。（関口潤、写真も）

　大統領との会談では冒頭、福田氏が「元気そうで何よりです」で笑顔で話しかけると、ユドヨノ氏が「震災に遭った同胞に会うために１年半前に宮城県気仙沼市などを訪れた際、福田さんとお会いしたことを良く覚えています」と応えるなど、和やかな雰囲気で会談は進んだ。
　ユドヨノ氏は「指導的な地位にある方々とともに訪問されたのは喜ばしいことだ」と感謝の意を述べ、「両国関係は政府間だけでなく、国民と国民の関係に根ざしたもの」「この訪問が両国の協力関係を一層向上させることを期待している」と語った。
　福田氏は「ユドヨノ大統領の指導の下、インドネシアは地域や国際社会での役割を飛躍的に向上させた」と２００４年から大統領を務めるユドヨノ氏の働きを評価。「日本とインドネシアは経済や教育、保健などの戦略的な分野で共通項を持っている」との認識を示した。
　地域情勢についても意見を交換。ユドヨノ大統領は東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）の一部加盟国と中国が争う南シナ海問題などアジアでの安全保障関係で、日本が中国や韓国、インドなどと重要かつ戦略的な役割を果たすことに期待を示した。
　会談には協会会員のほか、日本側は鹿取克章・駐インドネシア日本大使、インドネシア側は各閣僚のほか、ムハンマド・ルトフィ駐日インドネシア大使、ギナンジャール・カルタサスミタ大統領顧問会議委員らが同席した。
　同日、福田氏らはハッタ・ラジャサ経済担当調整相、マルティ・ナタレガワ外相とも会談した。
　ハッタ氏との会談後、福田氏は地元記者団に対し、「インドネシアは、経済成長が非常に安定しており、投資する立場の側からしても安心感を持てる。これは一番大きい。インドネシアの方は日本の企業に対して各方面で配慮してくれる。国民も親日的で、仕事がしやすい。それが一番大事なところだ」と強調した。
　ハッタ氏は「借款はできる限り利用せず、直接投資や官民パートナーシップ（ＰＰＰ）の形で資金を呼び込みたい」と説明。日系企業との連携を引き続き強化していきたいとの意向を示した。
　マルティ氏に対しては、衆院選後の新政権を念頭に「日本外交は今後良くなります」と語り掛けた。
　訪問団は４日、ジョコ・スヤント政治法務治安担当調整相、ヒダヤット工業相、アグス・マルトワルドヨ蔵相と会談するほか、インドネシア商工会議所（カディン）、インドネシア経営者協会（アピンド）幹部と懇談。同日夜に帰国する。

◇訪問団の主なメンバー

▽福田康夫・日本インドネシア協会会長（元首相）
■経済界
▽朝田照男・日本経団連日本・インドネシア経済委員長（丸紅代表取締役社長）▽重久吉弘・日揮グループ代表▽大坪文雄・パナソニック代表取締役会長▽長島徹・帝人取締役会長▽矢崎裕彦・矢崎総業代表取締役会長▽久保田隆・千代田化工建設代表取締役社長▽竹村滋幸・全日本空輸専務取締役執行役員▽常田照雄・毎日新聞常務取締役▽古宮正隆・三菱商事企画業務部顧問▽林雄一・ローソン海外事業グループ海外事業部長
■有識者
▽白石隆・政策研究大学院大学学長
■団体代表者
▽市村泰男・日本貿易会常務理事
■協会代表者
▽黒田直樹・日本インドネシア協会副会長（元資源エネルギー庁長官）▽飯村豊・同副会長（元駐インドネシア日本大使）▽相川ゆかり・同協会事務局長