部品交換「楽に早く」 海外モデルに工夫 POS端末 ねじ使わず
会場で展示した「TWINPOS Gシリーズ」。本体にはねじを使わず、ハードディスク(HD)などの部品を簡単に交換できる構造にした。納入先のシステム担当者や使用者の取り替えにかかる手間を減らすためだ。
NECはこれまで、国内で提供しているPOSシステムを言語変更し、海外で日系の百貨店などに提供していた。しかし現地企業への納入には壁があり、販売拡大に向けた分析を2009年ごろから始めた。
そこで着目したのが日本との保守(メンテナンス)の考え方の違いだ。海外の僻地や離島では、日本のようにエンジニアがすぐ故障に対応することが困難。そこで「簡単に素早く」という新コンセプトを打ち出し、構造設計を簡素化した。
NECは、納入先の担当者にPOSシステムの扱い方を修理方法を含めて研修。例えば、僻地の小売り店で故障が起きても、あらかじめ予備部品を店舗に用意していれば、電話での指示だけで容易に交換ができるように工夫した。
ねじを使わないPOS。「社内で反対論もあった」と設計に携わったNECインフロンティア(本社・川崎)グロバーバル推進グループの井上謙二マネジャー(38)。
「大事な情報が入っているHDを簡単に盗まれてしまう」。そんな意見を生かし、ロック機構を設置できるようにした。「セキュリティとメンテナンスのどちらを優先するか、納入先が選べる設計にした」と井上マネジャーは話す。
同シリーズは、インドネシアでは昨年末に出荷を開始。大手コンビニがすでに導入しており、復旧に掛かる時間が短縮できると好評という。
井上マネジャーは東南アジア向け製品の開発を手掛けて9年。「次の一手をどうひねりだすかが重要」。商品開発に熱が入る。(岡坂泰寛、写真も)