ハディ・スサストロ氏が特別賞 第1回アジアコスモポリタン賞 CSIS創設者 東アジア地域統合に貢献
奈良県とASEAN(東南アジア諸国連合)東アジア経済研究センター(ERIA)は16日、東アジア域内の文化面・経済面での地域統合、域内の格差是正、持続可能な成長社会形成を目的として創設された、「平城遷都1300年記念第1回アジアコスモポリタン賞」の受賞者を発表し、シンクタンクのインドネシア国際戦略研究所(CSIS)創設メンバーの一人・故ハディ・スサストロ氏がメモラブル賞(特別賞)を受賞した。
ハディ氏は1945年東ジャワ州マラン生まれの華人で、政治経済学者。71年のCSIS創設メンバーの一人。99―2000年には、当時のアブドゥルラフマン・ワヒド政権で経済顧問を務め、世界銀行やアジア開発銀行の顧問として活躍。10年に65歳で死去した。
受賞理由として、ハディ氏はASEANや東アジアにおける経済統合と協調を推進し、実現方法を探求。また、AFTA(ASEAN自由貿易地域)の重要性を説き、ASEAN加盟国間の投資活発化を主張。ASEAN経済共同体の形成に関して、多くの地域機関・制度の構築活動に貢献した業績が評価された。
大賞はタイ人の国連貿易開発会議(UNCTAD)スパチャイ・パニチャック事務局長、経済社会科学賞はアイルランド人で東南アジア地域研究の権威のコーネル大学のベネディクト・アンダーソン名誉教授、文化賞は「スラムダンク」などの人気作で知られる漫画家の井上雄彦氏が受賞した。
受賞者らは12月18―19日に奈良県で開催される授賞式に出席し、基調講演などを行う予定。特別賞を受賞した故ハディ氏の代理としてCSISのリザル・スクマ理事長が出席する。
アジアコスモポリタン賞は、大賞、文化賞、経済・社会化学賞を設け、受賞式が2年に1度ある。第2回は14年に行う予定。10年に奈良県で東アジア共同体の実現について議論を交わした「ERIA リージョナルネットワークフォーラム」で、東アジアの地域統合において文化的多様性を生かした統合の必要性が説かれたことが同賞創設のきっかけとなった。
今年、16カ国の研究機関から推薦された候補者を選考委員会が審査し、受賞者を決定した。賞は同賞発案の地となった奈良県で贈呈される。