気象観測ブイを設置 赤道近い西パプア沖に 協力網拡大へ日本支援 エルニーニョなど調査
インドネシアの科学技術応用評価庁(BPPT)と日本の独立行政法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)は24日、先月に西パプア州北沖に気象を観測するブイを設置したことを記念したシンポジウムを、中央ジャカルタのBPPTで開いた。25日まで。赤道上にある海洋の気候は日本を含む各国の気象状況に大きな影響を与えるが、これまでは日本と米国の2カ国のみが太平洋の赤道周辺に観測ブイを設置してきた。今回、インドネシアが1号機を設置したことで、3カ国体制となる。日本は今後、インドネシア以外の国との協力も進め、国際的な観測網の整備を促進していく方針。インドネシアは国際社会で気候変動分野での指導力を発揮していきたい考えだ。(関口潤)
日本の文部科学省管轄の科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)が連携し、日本国内と発展途上国の大学・研究機関の共同研究を推進する「地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS)」のプログラム。
日本側の資金で今年3月、降雨量などの正確なデータを計測することができる次世代型気象レーダー1機とともに、JAMSTECが開発した海洋に係留して水温や気温、気圧などを観測するブイ「イナ・トライトン・ブイ」を供与していた。
シンポジウムにはBPPTやJAMSTECの関係者のほか、米国、中国、韓国、インドなどの気象関係官庁の代表者が出席し、各国の海洋気象観測の現状を報告した。
インドネシアは、バリで2007年に国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第13回締約国会議(COP13)を開き、20年までに温室効果ガスの排出量を特段の対策を取らない場合に比べて26%削減するとの目標を表明している。
ブイの設置など気象観測網を整えることで、国際社会に気候変動分野での積極的な姿勢を一層アピールするとともに、洪水対策や農業振興を目的とした国内の気象観測にも役立てる方針だ。
プログラムディレクターを務めるJAMSTECの安藤健太郎氏は「赤道周辺の海洋の気候変化は特に日本では夏に影響が大きい」と述べ、太平洋の海水温の変化によって引き起こされるエルニーニョ現象などを観測する意義を説明。異常気象や気候変動は国や地域にまたがって起こるため、他国との協力体制が重要と強調した。