【選挙戦を追う―6党激突 2012年首都知事選?】 実績、話題性で一騎打ちに ジョコ・ウィドド候補

 「ジョコウィは誰のもの? ジョコウィは僕らのもの」?東ジャカルタのカンプン(集落)に子どもたちの歌声が響く。100人以上の視線の先にいるのは、赤いチェック柄のシャツを着たソロ(中部ジャワ州スラカルタ)現市長のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)候補だ。
 「ジョコウィにはソロ市長としての実績がある」。支持者は一様に口をそろえる。伝統市場の活性化、医療・教育の無料化を実現。国産車を市長の公用車にしてメディアの注目を集めた。赤いチェック柄のシャツの販売で選挙資金を調達するなど話題性は抜群だ。演説では雇用創出、医療・教育の無料化を強調。「政策は就任後、100日以内に実現する」と断言した。
 「市民に近く、汚職と無縁」という支持者の見方も共通だ。それを体現するかのようにジョコ氏は炎天下、カンプンを30分歩き、約200人の住民の前で30分演説、そこからさらに30分歩いて選挙カーに戻る。途切れることのない握手には低い姿勢で両手で応え、写真撮影にも笑顔で応じる。他候補の不正疑惑に関しては「他候補が何をしても構わない。私はお金やものをばらまいたことはないがね」と不正とは無縁のキャリアも強調。この日、四つのカンプンを回ったがジョコ氏は疲れを見せない。選挙期間だけのアピールではなく、普段からソロで行っているという市民との対話を実践した。
 ジョコ氏の手腕に懐疑的な声もある。貿易会社に務める南ジャカルタ在住のチ・フォーさん(46)は「ジョコウィの実績はソロでの話。ジャカルタの知事は大都会で市民の声をゆっくり聞く暇はなく、改革が上手くいくとは思えない」と話す。
 ジョコウィ陣営が焦点を定めるのは決選投票。選対チームによると、6候補が乱立する今回の知事選は2回目の投票までもつれる公算が高い。第1回投票で2位に食い込み、現職ファウジ候補組との一騎打ちになれば、行き場を失った票の受け皿となって押し切る算段だ。
 南ジャカルタ在住でデパート店員のナンダさん(22)は「ジョコウィに投票する。政治は全然知らないけどテレビによく写ってるし市民に優しそう」。
 市長時代の「実績」とメディアを利用した「話題性」を武器にして、無党派層、金権政治や経済成長の恩恵に授かれない市民、変化を求める人々の票をどれだけ取り込めるかが鍵になる。(堀之内健史、写真も、つづく)

◇正副知事候補の略歴
 ジョコ・ウィドド 闘争民主党(PDIP)、1961年ソロ生まれ。ガジャマダ大学(UGM)林業学部卒業後、家具輸出業で欧州各地を訪れる。2005年からソロ市長、10年には90.8%の記録的得票率で再選した。
 バスキ・チャハヤ・プルナマ グリンドラ党、1966年北ジャカルタ生まれ、華人。90年トリサクティ大学地質工学科卒。94年プラスティヤ・ムリヤ経営大学で修士号、鉱業関連会社社長、電力関連会社社長補佐を経て、2004年から東ブリトゥン県議員、05―06年、同県知事、09年から国会議員。

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