KPK出向者の捜査続行 大統領の指示に不満も 国家警察
国家警察中枢部を直撃した運転教習機材調達事業の汚職事件をめぐり、ユドヨノ大統領が警察に汚職撲滅委員会(KPK)への捜査移譲を指示したことに対し、警察幹部から不満の声が出ている。KPKと協調していくと言明する一方で、刑事事件に関与したとして、警察からKPKへ出向していた捜査官の捜査は続行する方針を表明、両者の確執は残ったままだ。
国家警察のナナン・スカルナ副長官は11日、KPKへの出向捜査官ノフェル・バスウェダン氏がブンクル州警刑事局長在職時、窃盗犯の虐殺事件に関与したとされる疑いについて、継続して捜査していくとの方針を示した。
ナナン副長官は「大統領の命令で捜査が妨げられたり、放置されることがあってはならない。問題がなければ、なぜ(犯人が)撃たれて死亡したり、足に銃弾が残っていたりするのか」と述べ、大統領が「ノフェル氏が関与した疑いのある事件の捜査は、時期や方法が不適切」と捜査延期を促したことに対し、反発する構えを示した。
ナナン副長官は「非政府組織(NGO)や国家警察委員会などの組織がともに同事件の捜査過程を監視してほしい」と述べ、外部からの批判も聞き入れる姿勢を示した上で「事件究明こそが警察の責務だ」と強調した。
ナナン副長官は10日にもメトロTVのトークショーで「大統領の演説に不満を持つ警察官もいた」「警察は再びKPKに敗北を喫したという声もあった」と明らかにしたが、「大統領の指示に従いながら、KPKと調整を図って法を順守していく」との姿勢を示した。
8年前の事件を再捜査する理由について、ブンクル州警のベニー・モカル本部長は「ノフェル氏に虐待されたという被害者から、新たな証言を得たため」と説明。ノフェル氏が警察幹部の汚職事件の捜査担当者であることと関係なく、過去の事件でも再捜査の対象になると強調した。
一方で、国家警察交通局が実施した運転教習機材の調達事業に絡む汚職事件をめぐり、国家警察のボイ・ラフリ・アマル報道局長はすでにKPKと協議したと述べ、「KPKが警察の捜査結果を使うか、新たに捜査をやり直すかは自由だが、被疑者を72日間拘置し、取り調べた結果であることにも配慮してほしい」と語った。
国家警察は、同事件で逮捕した副交通局長や受注業者2人の計3人をKPKに引き渡す方針を示している。