衣装180着 気仙沼へ 在留邦人ら再開に協力 来月12日のパレード支援

 東日本大震災の影響による中断を経て、来月12日に宮城県気仙沼市で行われるインドネシア文化を紹介するパレードの再開に協力しようと、ジャカルタ在住の邦人とインドネシア人有志が結成した「気仙沼インドネシアパレード復興支援会」は25日、支援会が集めたパレード用の衣装や小道具を、配送に協力する全日空(ANA)へ引き渡した。

 集まった衣装は約180着。支援会に参加したライオンズクラブ・ジャカルタ・モナス・グリーン支部のスリ・バノワティさんが全国のライオンズ・クラブの支部に協力を呼び掛け、各地の伝統衣装約150着や厄除け人形「オンデル・オンデル」を集めたほか、若手元日本留学生のインドネシア日本同好会(KAJI)や在留邦人らも衣装を提供した。
 支援会は、震災で被災した宮城県石巻市出身の佐々木哲也さんらが、パレード再開準備のためジャカルタを訪れていた気仙沼市民の鈴木敦雄さんと4月に偶然出会ったことをきっかけに5月に発足。ジャカルタ在住の東北出身者らが集い、わずか2カ月で180着の衣装の配送にまでこぎ着けた。全日空のほか、両国の企業や政府機関らも配送手続きが円滑に進むよう協力した。
 佐々木さんは「多くの人のつながりによって衣装が配送できることになった。特に復興を手助けしたいというインドネシア人の方々の姿勢に感動した」と述懐。佐々木さんと同様、東北地方にゆかりのある人々の集い「みちのく会」にも所属する相場雅文さんは「気仙沼の方々に直接聞いた被災の話は、テレビや写真で見るよりずっと衝撃を受けるものだった。今後も協力関係を継続していきたい」と語った。
 全日空ジャカルタ駐在員事務所の川崎三喜男所長は「今回の取り組みは、『お客様と共に最高の喜びを創る』というブランドポリシーにもかなっている。気仙沼のパレードを通じてインドネシアから元気を届けたい」と語った。

■バリダンス部も協力
 衣装集めには、ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)バリダンス部も協力。昨年1月に日本に帰国するまで同部に所属していた大園千尋さん、万里子さん、めぐみさんの3姉妹が使用し、帰国後は同部が保管していた上下5着の子ども用の衣装やクリス(短剣)など小道具を寄贈する。
 バリダンス部では毎年1回の発表会のため各自が衣装を用意するが、その後は使用しないという。部長の内藤知子さんは「思い入れはあって捨てたくはないが、日本へ持って帰っても活用するのは難しい。それが被災地で生かせてもらえるのであればうれしい」と話す。
 バリダンス部に所属する渡辺紗希さん(中3)と高木杏奈さん(小6)は昨年の夏休みに福島に帰省し、盛り上がったアスファルトやブルーシートが被さった家などの様子や放射性物質の影響で外出もままならない被害の現状を体感。衣装の寄贈について「被災地の力になれてうれしい」と語った。

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