超高層ビル、3年で倍 「第2の建造ブーム」 米不動産企業が予測 需要拡大、バブル懸念も
「3年後、ジャカルタの超高層ビルの数は倍に」。こんな予測を米総合不動産企業ジョーンズ・ラング・ラサール社が明らかにした。現在、高さ150メートルを超える超高層ビルは首都に75カ所。堅調な経済成長や豊富な内需などを背景に、世界各地からの企業進出が加速しており、不動産需要が飛躍的に高まり「第2の建造ブームの到来」と同社インドネシア担当調査部のアントン・シトルス部長は指摘する。
同社は、大手不動産開発業者などによる超高層ビルの建設計画などを基に、2015年と20年時点の建造数を予測。ホテルやアパートメント、オフィスビルを含む超高層ビルの数は15年には150カ所、20年には250カ所まで増加すると算出した。
アントン部長は、高層ビルの建造数が飛躍的に増加した1995年ごろの建設ブームと比較し、高成長下における建造物の増加という点で「類似した状況」と分析。97年のアジア通貨危機以降で最高の経済成長率を昨年記録したインドネシアに、海外投資家の熱視線が集まっている。
09年時点の建造数は40。現在までの約2年間で2倍弱に増えた。最近では、実業家のトミー・ウィナタ氏が率いる不動産開発大手アルタ・グループが、南ジャカルタ・スマンギのスディルマン・セントラル・ビジネス地区(SCBD)に超高層ビル「シグネチャー・タワー」(高さ638メートル)を建設すると発表。高い関心を集めた。
都市ごとの高層ビル建造数で、インドネシアは世界で約50番目。最も多い都市は香港で建造数は300に及ぶ。タイの首都バンコクや中国・上海における建造数は現在150ほどで、いずれもインドネシアを上回る数。
米ニューヨークにある超高層ビルは250。アントン部長は「今後は超高層ビルが建造されず、インドネシアは2020年に建造数でニューヨークと並ぶ」と分析。都市別の高層ビル数でも上位20位以内に入る見込みという。
一方で、不動産バブルを懸念する声もある。不動産専門家のブディ・シアラガン氏は「需要の伸びを反映しない不動産価格の高騰が続けば、バブル景気が起こる可能性が高い」と指摘した。