白物家電市場に再参入 中国のハイアール 三洋の事業譲渡で 「16年に業界3位」
白物家電シェアで世界1位を誇る中国のハイアール(海爾、本社・中国山東省青島)がインドネシア市場に再参入する。ハイアール本社のシー・ジーユエン・アジア太平洋担当取締役は、同社にとってインドネシアは海外で日本に次ぐ大きな市場になるとの見通しを表明。インドネシアでハイアールのブランドを構築することにより、シェア拡大を図る。世界の家電業界の勢力図が大きく変動する中、近年、急速に事業を拡大する中国企業がインドネシア市場でも攻勢をかけていく。
同社は、三洋電機から冷蔵庫、洗濯機の日本と東南アジア(インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム)での事業の譲渡手続きを今年3月に完了。9日、インドネシア法人の設立手続きを終え、16日にジャカルタで記者会見した。
ハイアールは販売代理店を通じてインドネシア事業を行っていたが、2007年に撤退。今回の再参入では、両社の協力による相乗効果(シナジー)で、16年に業界で3位となることを目指す。
販売面では、1970年代から事業を展開する三洋電機のブランド力やノウハウ、人材を活用。生産面では、1年間に世界で冷蔵庫1900万台、洗濯機1400万台を生産する自社の資材調達力を生かし、競争力を高める。
西ジャワ州ブカシ県チカランの東ジャカルタ工業団地(EJIP)に工場があり、冷蔵庫年間60万台、洗濯機15万台の生産能力を持つ製造法人、国内13支店を有する販売法人が、三洋からハイアールに譲渡された。液晶テレビや大型のフリーザー(冷凍庫)などについては、本社がある中国青島やタイから輸入し販売する。
三洋電機海外営業部統括部長だった板持裕氏が、製販両法人で社長に就任。今後数年間は「サンヨー」ブランドも使用していく。低中価格帯でサンヨー・ブランド、中高価格帯でハイアール・ブランドを用い、サンヨーは個人商店、ハイアールはショッピングモールで販売するなど、価格帯や流通で棲み分けを図る。「販売価格を積極的に下げることはしない」(板持社長)方針だ。
インドネシアの家電市場は昨年、前年比約15%増の成長を記録。普及率はまだ低く今後も大きな成長が見込まれる。板持社長によると、三洋電機は昨年、冷蔵庫がシェア11%で4位、洗濯機が同10%で5位となっている。