投票所 格差を象徴 線路沿い、純白のカーテン‥ 公衆の面前で開票 州知事選、2度目の直接選挙

 約700万人の有権者が参加したジャカルタ特別州知事選。選管は1万5059カ所の投票所に、それぞれ350万ルピアを割り当て、地域住民が中心となり設営や準備を行った。社会格差の大きい首都で、地区ごとに投票所の雰囲気は異なった。
 「ごみに埋もれて働く生活を何とかしてほしい」北ジャカルタの貧困地区。隣接する線路沿いに設けられた異臭がただよう投票所で、ごみ収集で生計を建てるアルディさん(29)は、家族とともにアレックス・ヌルディン候補に投票。選挙運動中に同候補が実施した無料健診を受け、将来への希望を託した。
 南ジャカルタの高級住宅街。純白のカーテンやアンティークのランプが住民の寄付金で飾り付けられたポンドック・インダの投票所で、大手企業幹部のロディさん(30)は「落ち着いて投票できた」。ジャガーやメルセデス・ベンツ‥。別の地区では高級セダンで投票所へ乗り付ける有権者のほか、正装姿で現れる人もいた。
 西ジャカルタ・グロドックの華人地区。「副知事候補が華人なのが決め手」店舗経営のセントサ・ヒダヤットさん(77)夫妻はそろってジョコ・ウィドド候補に投票。初の華人副知事誕生への期待感をにじませた。北ジャカルタの線路沿いで露店を経営するイタ・マヤンティさん(29)は現職のファウジ・ボウォ候補に投票。「首都を知らない候補者に、私たちの生活は分からない」
 首都の知事はスハルト政権以来、事実上、大統領が国軍出身の軍人を選任してきた歴史がある。2004年に市民の直接投票による地方首長選が開始され、ジャカルタ州知事選の直接選挙は今回で2回目だ。
 今年17歳になり、初めて選挙権を行使した娘と投票先が異なった会社員のマハ・プラニーさん(48)。「それが民主主義だよ」と涼しげに話す。家庭内でも政治についての議論を交わすことが時々ある。ジョコ候補を選んだ理由を「ソロでの実績を評価した」と説明する娘を誇らしげに見つめた。
 開票作業は公衆の面前で行われた。
 午後1時に投票が締め切られ、係員が投票箱から投票用紙を取り出す。各候補者陣営が派遣した立会人が監視する中、候補者を選ぶ印として有権者が指で開けた穴を一枚一枚確認。投票所に貼られた集計用紙に得票数を書き込んでいった。
 二重参加を防ぐユニークな取り組みも。有権者は投票後に指先を浸さなければ投票所を去ることができない。選管が実施している「秘策」で、洗っても数日は色が落ちない仕掛けになっている。

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