見て・触って・感じる社会科見学 ジャカルタ漁港 JJSの児童82人
ジャカルタ日本人学校(JJS、バンテン州南タンゲラン市)の小学部5年の全クラス児童82人が6月27日、日本の政府開発援助(ODA)で整備されたジャカルタ漁港(北ジャカルタ・ムアラバル)を見学。水産物の流通現場を見て歩き、言葉の壁を乗り越えて矢継ぎ早に質問を作業員にぶつけるなど、好奇心で目を輝かせた。
JJS児童によるジャカルタ漁港見学は2003年に始まり、今回の目的は社会科の授業で水産業の学習があるため。実際の現場から働く様子や工夫、努力を知り、日本のほか世界各国に水産物を輸出する同漁港を肌で感じてもらうことだ。
児童たちはまず、魚が水揚げされる様子を見学。マグロやかつおなどの仕分け作業を間近で見た後、船のドッグ、製氷場、船をコントロールするタワー、冷凍倉庫を見て歩いた。
冷凍庫では冷凍保存された魚を見学し、マイナス21度の世界を体験。「寒い寒い」「作業のおじさんは半袖ですごい」などと興奮気味の子どもたちの声が響いた。冷凍庫を出ると、曇った眼鏡を見せ合う児童や外気の暖かさに安心する児童もいる。
船のコントロールタワーでは、階段で地上から35メートルにある展望エリアからジャカルタ港を見渡した。ここからは停泊する約700隻の漁船、マングローブなどを一望できる。
見学終了後も児童たちは興奮冷めやらぬ様子。働く労働者に引率のインドネシア人教師の手を借りて質問したり、自分でインドネシア語を使って直接聞く児童もいる。
「この船は木造船?」「何をするための船?」「この器具はなにに使う?」——。児童たちが質問責めにすると、漁師たちも嬉しそう。子どもたちの質問に笑顔で答えていた。
新村希衣さんは「ここがインドネシア初旅行。なにもかもが新鮮だった。冷凍倉庫では、氷に囲まれているような感覚だった」と振り返った。
一方、学年主任の笠岡睦史教諭はこの日を振り返って「教科書とか動画サイトではなく、本物を生で見て、匂いを感じ、触って、体験して、『すごい!』と感じたことが何より良かった」と話した。(野元陽世、写真も)