新規上場で事業拡大へ 14億㌦目標 プルタミナ子会社
国営石油・ガス会社プルタミナの子会社プルタミナ・フル・エネルギ(PHE)が6月をめどに、インドネシア証券取引所(IDX)に上場する。全株式の10〜15%を売却することで、約14億ドルを調達する。2023年4月までの東南アジア域内株式市場での上場としては、最大規模の金額となる見通しという。
同社は国内各地で石油・ガス田の開発事業を進めている。今年に入り、韓国鉄鋼大手ポスコとのグループ会社、ポスコ・インターナショナルと組成した企業連合(コンソーシアム)が、東ジャワ州沖のブンガ鉱区の探査権を獲得した。21年から連携して進めてきた鉱区の調査が実り、天然ガス生産が見込める鉱脈を見つけるに至ったという。鉱区の推定石油・ガス資源量は原油換算で13億バレル。プルタミナ側は50%の採掘権益を持つ。
株式上場では、得る収益のほとんどをこれら石油・ガス事業の前段階である探査・開発活動、ならびに新たな石油・ガス権益取得のための資本支出に充てるという。
10億ドルを超える規模の新規上場は、22年4月に配車・配送サービス・電子商取引(EC)大手GoToグループが実施して以来となる。
株式などの売り出しの幹事である「ブックランナー」には、シティグループやクレディ・スイス、JPモルガン、インドネシア国営銀行系のBRIダナレクサ、バンク・マンディリが名を連ねる。
プルタミナグループは石油・ガス開発や再生可能エネルギー事業を推進する中で、新規上場による株式市場での資金調達を進めている。
地熱発電子会社プルタミナ・ジオサーマル・エナジー社(PGE)は2月、事業拡大に向けて新規株式公開(IPO)で約6億ドルを調達した。インドネシア証券取引所に上場する地熱発電事業会社では最大規模の金額だった。
PGEは国内各地13カ所で地熱発電事業を手がける。同社は直接管理する地熱発電設備容量を現状の672MWから30年までに1540MWまで引き上げる目標を掲げ、各地で地熱開発を進める。
新規上場によって、経営の透明性を高めて民間企業や投資家からの投資を促す狙いもあるとみられる。プルタミナ傘下の各社は、国家プロジェクトを多く請け負っており、事業推進に多額の資金が必要となっている。