王宮誕生268年祝い演奏披露 故中野さんの遺志継ぎ 邦人ジャワガムラン楽団
ジョクジャカルタ王朝の初代スルタン、ハメンク・ブウォノ1世の居城となったクラトン(王宮)の建設から今年で268年。これを記念する「文化芸術祭」が18日、東ジャカルタのタマンミニ・インドネシアで開催された。
トップバッターでガムラン演奏を披露したのは、日本人ジャワガムラン楽団「スルヨララス・ジュパン」。昨年7月に急逝した主宰者だった中野千恵子さんの遺志を継ぎ、楽曲6曲を合奏した。
芸術祭は王朝発足を祝う恒例行事で、ジョクジャカルタ特別州内に伝わる各地の伝統芸能を紹介するのが目的だ。ただ、バリ楽器を交えてアレンジを加えるなど、伝統を踏まえながらも文化の育成を柔軟にとらえるハメンク・ブウォノ10世(同特別州知事)の姿勢を反映。来場者は手拍子を打ち、踊る人もいて、会場となったジョクジャ・パビリオンのプンドポ(集会場)は熱気に包まれた。
1時間近い演奏を任された邦人グループ「スルヨララス・ジュパン」にとっても、中野さんが生前から大切にしてきた交流イベントとなる。
グループ幹事のひとりで、中野さんと二人三脚となって活動してきた高岡結貴さんは、「中野さんは『永久主宰者』に。そして彼女がやりたかった事を最優先で活動を続けたい」と話す。中野さんの一周忌となる7月1日には特別演奏会を開く計画だ。(長谷川周人、写真も)