次の世代へ歴史も繋ぐ スンバコの手渡し復活 JJS

 ジャカルタ日本人学校(JJS、バンテン州南タンゲラン)で4日、PTA役員や学校職員が地域住民にスンバコ(生活必需品)を配布した。この支援活動は2000年に始まり、ラマダン(断食月)前に実施している。活動の由来は、スハルト政権崩壊につながる1998年の5月暴動で帰宅困難となった同校の子どもたちを救った地元住民への恩返しにある。 

 暴動から25年目の節目を迎えた今年は、クーポン券1224枚を地元住民へ配布。新型コロナの影響でこれまで各地域の代表者にまとめてスンバコを渡していたが、今年は対面での手渡しが復活した。
 スンバコの中身は、JJS維持会から砂糖や食料油のほか日系企業2社が提供したインスタント麺と調味料の計4品目となった。
 配布が始まる午前9時前には100人を超える住民が、JJSの正門前に列を作った。先頭に並んでいたマリアニさん(32)は「毎年開催してくれて嬉しい。毎年参加している」と感謝を表した。また、スンバコを受け取った住民からは日本語で「ありがとう」。日本人はインドネシア語で「トゥリマカシ(ありがとう)」「サマサマ(どういたしまして)と言葉が交わされた。
 暴動が発生した98年当時、市内の交通網は混乱状態に陥り、帰宅困難となった子どもたちは校内で宿泊を余儀なくされた。その際、地域住民が自発的に米などの食料を差し入れ、暴徒が学校敷地内に入らないよう警備を行ってくれたという。
 PTA副会長の安田啓一さんはこの活動を続ける意味について住民へのお礼はもちろん、「この活動によって昔のことを知らない若い世代が歴史を知るきっかけにもなる」と語った。
 JJSの緒方克行校長は、「我々は(スンバコを)お渡しすることで1998年の皆さんのご支援に対する感謝の気持ちを胸に刻む」と住民へ感謝を述べた。(青山桃花、写真も)

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