今年の政局を展望 バクティアル氏 AA・MGウェビナー

 アジアコンサルト・アソシエーツ(AA)と松井グローカル(MG)はこのほど、「インドネシア2023年政局展望〜大統領選に向けての各勢力の動きと世論の動向〜」をテーマにウェビナーを実施した。この中でAA代表でインドネシア大学人文学部准教授のバクティアル・アラム氏は、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の高い支持率や来年の大統領選に向けた各勢力の動きなどついて分析した。バクティアルの講演要旨は次の通り。

■大統領の支持率

 ジョコウィ大統領の高い支持率は、背景にコロナ禍で政府が実施した社会保障にある。
 1月には新首都法案の国会可決に法案の違憲性を訴える著名知識人や環境団体が猛反発。4月は食用油など物価高騰に学生らによる大規模デモが国会前で発生。9月は燃料油価格の引き上げを受けて労働組合や学生による抗議デモが全国に広がり、安定した支持を得ているわけではない。

■大統領選への動き

 正副大統領候補を擁立できるのは、国会で20%以上の議席を有する政党および政党連合と選挙法は定める。そこで闘争民主党(PDIP)を除く主要政党は連合を結成。候補者を擁立できるのは①グリンドラ党、民族覚醒党(PKB)によるインドネシア・ラヤ決起連合(KKIR)②ゴルカル党、国民信託党(PAN)、開発統一党(PPP)によるインドネシア統一連合(KIB)③ナスデム党、民主党、福祉正義党(PKS)による変革連合④PDIPとなる。
 各政党グループはそれぞれ課題を抱える。KKIRの場合、グリンドラ党のプラボウォ・スビアント党首を大統領候補、PKBのムハイミン党首を副大統領候補に擁立するとみられていたが、グリンドラ党のファドリ副党首が「副大統領候補はガンジャル・プラノウォ中部ジャワ州知事がなる可能性もある」と発言、不協和音が表面化した。
 変革連合は、大統領候補をアニス・バスウェダン前ジャカルタ州知事とすることで一致しているが、副大統領候補の選定で揺れる。PDIPもガンジャル氏とメガワティ党首の娘・プアン・マハラニ国会議長のどちらを大統領候補として擁立するかで、党内の緊張が高まっている。

■9月に向け活動ピーク

 民主化の中で育った若者世代が特権階級を嫌う傾向があり、庶民の中から叩き上げられたリーダーが親近感を持たれ尊敬を集める。そこでガンジャル、アニス、プラボウォの3氏の陣営がどう支持を伸ばすかが注目されるが、ジョコウィ氏の影響力も無視できない。またアニス、プラボウォ両氏は支持層が重複する部分が多く、差別化がこれから重要なカギを握る。ガンジャル陣営はPDIP内部で支持をまとめることができるかが最大の課題だ。
 大統領選の正副大統領候補の登録は今年9月7〜13日。これを目指して諸政党の連携を目指す活動がピークに達するだろう。(坂田恵愛)

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