【青春の町ジョクジャ①】 近代的デザインの新空港 大型機の発着実現も ジョクジャカルタ国際空港
2020年8月に正式運用したジョクジャカルタ国際空港(YIA、ジョクジャカルタ特別州クロンプロゴ県)の施設では近代的なデザインが採用されている。ただ、首都ジャカルタの空の玄関口スカルノハッタ国際空港(バンテン州タンゲラン市)と見た目が変わらず、「ジョクジャらしさ」が失われたようにも感じる。その一方、鉄道の建設や大型機の発着が可能になるなど戦略的意義が増し、地域経済のハブとしての機能が期待されそうだ。
記者が留学時代、1年間過ごした青春の町ジョクジャ市街地にはもともと、アジスチプト国際空港があるが施設の老朽化や市街地にあるために空港の拡張が難しいなどの問題を抱えていた。また、周辺では慢性的な渋滞も発生している。
新しいYIAは市街地まで約45キロと離れているが、21年9月に市内中心地となるジョクジャカルタ駅を結ぶ鉄道が開通。これまで自動車で1時間半またはそれ以上かかった移動時間が約40分に短縮された。
鉄道のチケットがすぐに売り切れてしまう時間帯もあるという欠点もあるが、料金は片道2万ルピア。途中でワテス駅(同州)に停車、地元の高校生や大学生も利用しており、市民の足としても一躍買っているようだ。
YIAはジョクジャカルタ特別州と中部ジャワ州の州境に位置しており、中部ジャワ州への観光客呼び込みにも期待がかかる。
また、YIAの滑走路は長さ約3200メートルで、アジスチプト国際空港の約2200メートルと比較すると約1000メートル長く、ボーイング777など大型機の離発着を実現させ、物流の効率化も見込める。
アジスチプト国際空港が持つ建物の雰囲気など記者が感じた「ジョクジャらしさ」が消失していることは残念だったが、市民の足、観光客の受け入れ促進、物流の効率化などYIAの良さも評価すべきだろう。
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ジョクジャカルタ特別州の交通、コロナ禍における観光、地方都市の挑戦を掘り下げる連載「青春の町ジョクジャ」を本日から掲載します。(ジョクジャカルタ=長田陸、写真も)