保守的な中間層 少数派軽視 顕著に 批判的だが傍観者 コンパス調査
大手紙コンパスはこのほど、インドネシアの内需を支える中間層の実態調査を実施した。最新情報を享受してライフスタイルが変わり、3人に1人は携帯電話を1台以上所有するなど旺盛な消費意欲を持つ一方、伝統や宗教などについては保守的で、少数派の宗教を軽視し、民主主義に反する考え方も固持する傾向があると指摘した。
調査は3、4月、ジャカルタ、バンドン(西ジャワ州)、ジョクジャカルタ、スラバヤ(東ジャワ州)、メダン(北スマトラ州)、マカッサル(南スラウェシ州)の6都市で、17歳以上の2550人を対象に多段抽出式で実施。1カ月の支出などに応じて五つに分類し、50.2%を占める中間層を中心に分析した。
中間層の特徴として、学歴は高卒、1カ月の支出は75万―190万ルピア。職業は個人業や下級公務員、会社員、主婦、学生などとしている。
ライフスタイルでは、ショッピングモールには1カ月1回以上訪れ、携帯電話は31.2%が1台以上を所有。携帯電話やノート型パソコンなどで、インターネットを1日1―2時間使用する。就労時間は1日約8時間で、より所得の多い層や低所得者層と比べ、自由な時間を持つとした。
32.9%がクレジットカードを1枚以上持っているが、ブランド品を多数所有するほどの購入力はない。偽造品を所持することも多く、新しい商品も、使っている人を見てから試す傾向があると分析した。
■異端派、左翼は拒絶
旺盛な消費者としての顔を持つ一方で、中間層は伝統や家族観、宗教、市民生活、国家に対して保守的な考え方を固持していると指摘。「(イスラム異端派の)アフマディアの活動禁止令は適切な措置」と回答した人は73.8%、「ポルノ問題は法令で規制すべきだ」と答えた人は69.6%に上った。
1960年代後半、数十万人とされる共産党(PKI)シンパ粛清の傷痕もあり、77.1%が「左翼系の市民団体や政党は禁止すべきだ」と答えた。
スハルト独裁政権崩壊以降、14年を経た民主化で、大統領や地方首長、国会議員らの直接選挙を実現させたにもかかわらず、中間層は民主主義の原則順守より、携帯電話オペレーターの割引などに関心を持っていると指摘。民主化運動で独裁政権を崩壊させた当時から一転し、国家に依存しようとする傾向があると分析した。
政治に関心はあるが、「ビビット・チャンドラ(汚職撲滅委員会=KPK=幹部)」「ガユス・タンブナン(税務マフィア)」「ナザルディン(民主党幹部)」「アンジェリナ・ソンダク(同)」など、汚職疑惑の被疑者となった特定人物をテレビドラマの主人公のようにとらえ、娯楽の一部として事件のてん末を追っているとした。
「メディアの偏向報道にも批判的な視聴者だが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などでコメントするだけの傍観者でもある。強固なイデオロギーを基に、組織的に抵抗する運動を起こすには至っていない」と結んでいる。