絆の精神伝える 国際交流基金の小川さん アル・アズハル大講演会で 

 アル・アズハル大学文学部日本研究センターは8日、南ジャカルタの同大キャンパスで、国際交流基金ジャカルタ日本文化センター所長の小川忠さんをゲストスピーカーとして招き、「チャレンジ! 日本に学ぶ」をテーマとした講演会を開いた。講演会は今回が6回目。文学部日本語学科の学生ら約90人が参加した。
 冒頭、学生たちは被災者の人々に元気づけようと、東北各県の被災地で8月11日に花火大会を開催しようとする団体の奔走する姿を追ったドキュメンタリー映像を鑑賞。スクリーンに映し出された津波発生時の瞬間や被災者の生活模様を目にして、涙を流す学生の姿も見られた。
 その後、小川さんが東日本大震災の被害状況や日本の地震予防対策や技術を説明し、被災者が精神的疲労を抱え込む中、ボランティアスタッフが精神カウンセリングを行うことや、近隣住民などがお互いに支え合って苦難を乗り越えていく絆の精神の大切さを伝え、インドネシアにあるゴトン・ロヨン(相互扶助)と共通する部分があると指摘した。「住民同士の社会的絆が震災後の復興に大きな力を発揮する」と話し、文化の果たす大きな役割をを語った。
 最後に学生からは「インドネシアが日本の被災体験から生かせることは何か」という質問が飛び、小川さんは「インドネシアには防災教育を導入することができる。防災教育は災害の犠牲者を減らし、予防につながる」と防災教育の重要性を強調した。 
 同大学文学部日本語学科3年生のユタさんは「日本であれだけ甚大な災害が起きたにもかかわらず、みんなで支え合って頑張ろうとする姿勢がすごい。インドネシアも見習いたい」と感想を述べた。
 講演会が終了した後も、学生たちは質問をしようと小川さんを囲んだ。兵庫県神戸市出身の小川さんは1994年に神戸を襲った阪神淡路大震災の経験も伝えようと、大学生に直接語り掛けた。

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