【新生活特集】図書館が8月リニューアル 生活情報の発信基地に JJC個人部会
海外生活で暮らしの拠り所となる日本人会。ジャカルタなら1970年に創設された国内最大級の邦人コミュニティ「ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)」がその役割を担う。JJCの活動はさまざまだが、個人部会の中核的な存在であり、蔵書は1万冊を超えるライブラリー=写真=が今年8月、リニューアルする。移転プロジェクトを担当するJJC事務局の川腰浩文次長にその概要を聞いた。
JJCはジャボデタベック(首都圏)を拠点する日系法人と在留邦人のための組織。法人会員は約700社、個人会員は約1400人で、法人部会は商工会としての機能を持ち、個人部会はいわゆる日本人会として活動している。
「ジャカルタでの新生活を安心できる、より価値あるものにしてほしい。そのお手伝いをする拠り所にしていきたい」
個人部会が向かうべき方向性について、川腰さんはこう話す。個人部会はこれまで、会員間の親睦や日イ両国の親善・交流を目指し、クラブ活動の支援やスントゥール運動場(西ジャワ州ボゴール県)を運営してきた。今後はこれらに磨きをかけるとともに、当面の目玉はやはりライブラリーのリニューアルとなる。
現在のライブラリーの運営状況をみると、新型コロナウイルスの感染拡大で3カ月近い閉鎖期間があったが、足元では年間延べ3000人の会員が利用。貸し出し図書数は2020年、約7000冊となった。都会の喧噪から離れ、落ち着いたライブラリーの雰囲気が利用者に好評だが、川腰さんも「小さな子ども連れの家族が、絵本を読み聞かせている様子を見ると心が和む」という。
ライブラリーは5年前、タムリン通りから移転してきた。ところが、コロナ禍で日本に避難する邦人が相次ぎ、JJCの個人会員も半減。個人会員の会費だけでは運営が成り立たず、ライブラリーを廃止する方向で検討が始まった。
しかし、会員向けアンケートで存続を求める声が噴出。今後はスナヤンエリアにあるセントラル・スナヤン1に移転し、再出発することが決まった。6月には着工し、営業再開は8月になると見通しという。
新しいライブラリーのレイアウトデザインは作成中だが、カフェスタイルのコーナーを新設することで、図書の閲覧目的以外でも利用可能にして運営を多様化する。また、多目的ルームは1面が鏡張りとなり、クラブ活動の運用に応用性をもたせる。
落ち込んだ会員数を取り戻す努力は必要だが、ライブラリーのリニューアルで利用率を上げ、収支構造を持続的なものに変革することも大切だ。
利用者の側からみても、ライブラリーのコミュニティ空間や個人部会が提供するクラブ活動は、邦人同士がリアルで交わす情報交換の場となる。安全、医療、教育、飲食など暮らしに関わる意見や体験談は、「納得感と安心感が違う」と川腰さんは入会を呼びかけている。