経済の現況と展望

 インドネシアの景気は、2020年第2四半期を底に緩やかに回復している。業種別にみると、20年には2桁のマイナス成長となった輸送機器、交通・倉庫、宿泊・飲食は、21年にはプラスに転じた。22年は平時の成長率5%前後への回復が見込まれている。
 投資の動向は、日本やシンガポール、中国などの投資が微減となった一方で、香港が大きく投資額を伸ばした。シンガポール、中国、香港、韓国は、資源関連の投資が目立つ。また、米国も鉱業や化学品製造の分野での大きな投資があり4位に躍進した。内資では国内市場の拡大を受けて、食品製造の投資が急増している。結果として、21年の日本からインドネシアへの投資額は、シンガポール、香港、中国、米国に続く第5位となった。
 21年の日本からの投資を業種別に見ると、上位から順に、電気・ガス・水供給、自動車等輸送用機器、化学・製薬、不動産・工業団地・オフィスの順となっている。最近の日本企業の投資のトレンドを見れば、2010年代前半に拡大した輸送機器関連に加え、ジャカルタ都市圏の所得増加や人口増加などの市場拡大を背景に、投資分野の多様化がみられ、インフラ・都市開発や消費財・サービスなどの分野への投資が拡大している。また、新型コロナ以降は、DX関連など新産業分野への投資も見られ、幅広い分野にわたる。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)が行った21年度海外進出日系企業実態調査によれば、日系企業の景況感は改善傾向にある。21年の黒字企業の割合は製造業が66・5%、非製造業が59・2%となり、製造業・非製造業ともに20年よりも黒字企業の割合が上昇した。業種別では、輸送機器の黒字企業の割合(90・9%)が最も高く、続いて非製造業の情報通信業の黒字企業の割合(85・7%)が高かった。一方、旅行・娯楽業では、赤字企業の割合が8割となっており、業種によって回復にバラツキがみられる。
 日本企業のインドネシアへの投資理由は、引き続き、市場規模・成長性の魅力が最も多い。人口ボーナスは2040年頃まで続く見通しで、最近では年間の可処分所得5000ドル以上の人口が急速に増加している。
 他方、インドネシアへの投資リスクとして、インフラをリスクとする企業の割合は相対的に低下する一方で、労賃の上昇や政策運営の不透明性、税務手続きをリスクとして挙げる傾向が健在化している。
 政策運営の不透明性に関連するが、インドネシアでは重要な法規制・政策が突然改定されることが多い。21年末には、繊維、鉄鋼、中古資本財などの輸入規制の変更が相次いだ。1月に急きょ発表された石炭輸入禁止措置も記憶に新しい。また、既に施行されている雇用創出法にも違憲判決が出され、政府は対応を急いでいる。
 インドネシアが、22年の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)議長国、23年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国、24年の大統領選挙と大きな政治・経済イベントを迎えることもあり、引き続いて、急激な政策・規制変更に対して注意していく必要があろう。
 髙橋正和 JETROジャカルタ事務所長(JJC調査部会長)

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