心の支えは「強い好奇心」 コロナ待機で2年3カ月 日本語パートナーズ
東南アジア諸国連合(ASEAN)各国などの日本語教育支援を目的とする「日本語パートナーズ(NP)」。1月にインドネシアへ派遣された第16期の30人が17日、任期を終え日本に帰国した。西ジャワ州チマヒ市の職業訓練高校に派遣された青山桃花さん(24)にNPの内定が出たのは2019年10月。コロナ禍で渡航は2年3カ月も延期されたが、それでも待ち続けることができた心の支えや今回の滞在経験で何を感じたのか尋ねた。
青山さんは20年3月に京都市内の大学を卒業。大学時代は海外で働く日本語教師を目指す一方、インドネシア語の勉強をしていた。
「大学で学んだインドネシアの言語や文化。本当にその国のことを知るためには現地に行き、肌で理解する必要があると考えた」。内定から2年以上待ち続けることができたのは「強い好奇心」という。
チマヒ市の第1国立職業訓練高校(SMKN)に派遣された青山さんは、1月10日~3月4日の間、週に5回、同校3年生の生徒に日本語を教えていた。休日は生徒たちとバドミントンや登山をするほか、列車に乗ってバンドン市内に遊びに行ったこともあるという。時間をフル活用し、積極的に生徒たちと交流していたようだ。
新型コロナの影響も受けた。感染対策でオンライン授業が2週間続くほか、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド授業を行う時期もあったという。
「オンライン授業だとカメラやマイクをオフにする生徒がいた。質問があるか聞いても反応はほとんどなく、生徒の授業態度は消極的になってしまう」と苦労を振り返った。
ただ、達成感を感じた思い出も多いようだ。「日本語朗読大会に出場した生徒が3位のトロフィーを獲得した。先生のおかげで賞をとることができたと言われた時はとても嬉しかった。また、到着当初の1月と比べると、学校を去る3月は日本語を使う生徒が増えた。日本語の理解度が深まったことにやりがいを感じた」と語る。
今回NPの任期を終え、海外で働く日本語教師になりたい気持ちが強くなったという。
「インドネシアに来る前は早く日本に帰りたい、なんて考えるかと思った。実際は帰りたくない、もっと生徒と関わっていたいという気持ちが高まった。気がついたらインドネシアのことがすごく好きになっていた」と感極まる場面もあった。(長田陸)