小麦高騰の懸念浮上 ウクライナ危機 5月値上げの予測も
ロシアによるウクライナ侵攻で、小麦の先物取引価格が乱高下している。穀倉地帯を抱えるウクライナからの輸出がほぼ停止しているためで、小麦の約3割をウクライナに頼るインドネシアの市場混乱を危ぐされている。
地元メディアの報道によると、インドネシア国内の小麦価格はウクライナ情勢が緊迫したこの3カ月で、13%を超える上昇を見せた。しかも輸入停止の長期化は避けられない情勢で、経済法学研究センターのビマ・ユディスティラ所長は、「危機的状況に陥りつつあり、関係業界は新たな供給先を確保すべきだ」と警鐘を鳴らす。
中央統計局(BPS)によると、ウクライナからの輸入総額は2020年、9億6000万ドルとなり、このうち7億1000万ドルを小麦が占める。「このため(ウクライナ情勢の)影響を受けるのは避けられない状況だ」(BPSのスティアント統計分布部長)。
これに対し、インドネシア小麦粉生産者協会(APTINDO)のラトナ・サリ・ロッピーズ会長は「国内産小麦の供給があり、心配はない。現段階で値上げの検討もしていない」と楽観的な見通しを示す。
ただ、飲食料品製造業者協会(GAPPMI)のアディ・ルクマン会長によれば、国内産小麦の在庫は約200トン。輸入停止が続けば国産だけではまかなえず、「5月には値上げに踏み切る可能性がでてくる」という。(センディ・ラマ)