日産、エヴァリア投入 3列7人乗りの量販分野 MPV「戦国時代」へ 志賀COO「最優先市場」
日産自動車の現地製造・販売法人、日産モーター・インドネシア(NMI)社は7日、3列シート7人乗りMPV(多目的車)の世界戦略車「エヴァリア」の販売開始を発表した。販売価格帯は1億4500万―1億8500万ルピア(約122万―155万円)。インドネシア市場全体の3割近くを占める最大セグメントに投入し、一層のシェア獲得に本腰を入れる。
同日開かれた記者会見に出席した日産自動車本社の志賀俊之・最高執行責任者(COO)は「インドネシアは最優先市場」と強調。「多くの人数が乗れて、安い、このような車が望まれていたと思う。市場にインパクトがあるだろう」と語った。
エヴァリアの海外での投入は、スペイン、中国に次ぐ3カ国目。2列目のシートにリクライニング機能を付けるなど、多人数で乗る需要が高いインドネシア向けの開発を行った。
現地調達率は76%。投入段階としては高い水準で、為替変動の影響を緩和し、コストを抑えた。現調率は、今後数年間で90―95%まで引き上げる方針だ。
「エルグランド」「セレナ」「グランド・リヴィナ」と合わせ、日産はインドネシアでMPVのラインナップをそろえた。
インドネシア自動車工業会(ガイキンド)の統計(卸売りベース、暫定値)によると、日産の1―5月の販売は約2万8千台。市場全体としては前年同期比25%の伸びだが、日産は主要メーカーの中で最大の伸び率53%を記録した。
量販セグメントに「エヴァリア」を投入することで、2012年度の販売目標である9万台達成を目指す。
3列シート7人乗りのMPVセグメントでは、アバンザとセニアの2車種で、23万台、全体市場の25%超を獲得。圧倒的な存在感を示している。このセグメントに今年4月、スズキが「エルティガ」を同価格帯で投入した。今回、「エヴァリア」の投入でさらなる競争激化が予想される。