水力発電に3.8億ドル融資 脱炭素を支援 世界銀行
世界銀行は11日、インドネシアで初めてとなる揚水発電設備建設事業に3億8千万ドルを融資すると発表した。新たな水力発電事業を、脱炭素化に向けた取り組みとして支援する狙いがある。
融資が行われる、ジャカルタ特別州と西ジャワ州バンドンの間に位置するチソカン川の上流に建設される発電所の発電容量は、1040メガワット(MW)。
チソカン発電所は、下部の貯水池から上部の貯水池にポンプで揚水された水を使い運転する揚水発電技術を採用する。欧州では一般的な技術という。
同水力発電所の開発は、これまで石炭火力発電に過度に依存してきた、インドネシアのエネルギー構造の転換を図る取り組みの一環だという。
世界銀行のインドネシア・東ティモール担当のカントリーディレクター、サトゥ・カフコネン氏は「インドネシアの脱炭素化に向けた取り組みのターニングポイントとみている」と述べる。
地元メディアによると、インドネシアの人口の過半数に電力を供給しているジャワ・バリ電力網の8割以上は、石炭や石油など化石燃料による発電所から供給されている。
水力発電設備増設は、二酸化炭素の排出量削減を進めつつ、ピーク時の発電容量を増やすことを目的としている。
世界銀行の支援に絡み、アリフィン・タスリフエネルギー鉱物資源相は「揚水発電新設は既存の電力ネットワークの負荷軽減につながる。省エネ努力、クリーンエネルギー技術の使用を通じ、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいく」と話す。