日系老人ホーム 初進出 介護文化定着目指す ロングライフ ジャバベカで富裕層向け

 関西を中心に介護サービス事業を展開するロングライフホールディング(本社・大阪府大阪市)は地場系不動産開発会社のジャバベカ社と合弁企業を設立し、西ジャワ州ブカシ県チカランのコタ・ジャバベカ内に開発中の医療機関を中心とした複合団地「メディカル・シティ」で有料老人ホームを運営する。老人ホーム運営で日本企業が進出するのは初めて。インドネシアでは、介護は家族や地域が担うという意識が現在も根強いが、核家族化と高齢化で長期的には需要が拡大すると判断。当初は国内の富裕層をターゲットとし、将来的には在留外国人の入居のほか、日本からの高齢者の受け入れも視野に入れている。(関口潤、写真も)

 シニア向けの住宅地開発を進めていたジャバベカ社は2010年10月、大阪で開かれた「インドネシアへのシニア層の呼び込み」をテーマにした文化観光省(当時)主催のセミナーと商談会に参加。海外展開を考えていたロングライフと方針が合致した。
 合弁会社の名前は「ジャバベカ・ロングライフ・シティ」を予定。資本金は25億ルピア(約2千万円)で、出資比率はジャバベカが66%、ロングライフが34%。70ヘクタールのメディカル・シティ内のうち、8ヘクタールの敷地に、スポーツ施設などを併設した高齢者向けの住居群「シニア・リビング」を開発する。建築開始は11月。来年末までに入居開始を予定している。
 3階建てでアパートタイプの「シニア・ケア」と戸建ての「シニア・ビラ」で、計400戸建築。「シニア・ケア」の利用権は、食事代など込みで月1300万ルピア、年1億4100万ルピアから。「シニア・ビラ」は月2200万ルピア、年2億4千万ルピアから。終身利用権の場合、それぞれ11億ルピア、15億ルピアから。
 3日に中央ジャカルタのムナラ・バタビアで合弁企業設立の調印式が開かれ、鹿取克章駐インドネシア日本大使、ジャバベカのダルモノ社長、ロングライフホールディングの遠藤正一社長らが出席。遠藤氏は式典で「日本の細やかなケアサービスを世界へ広げることを目標にしている。インドネシアに世界で最も進んだケアライフを定着させることに尽力していきたい」と意気込みを示した。
 ロングライフは昨年末、中国で日本企業として初めて老人ホームの運営を開始。インドネシアは2カ国目の進出。遠藤氏は「高齢化社会の日本も、2045年には市場規模が急激に縮小し始める。日本だけを見ていたら将来性はない」と語り、今後ベトナムや韓国などへも展開するとの方針を示した。
 経済連携協定(EPA)に基づいて日本で働き、国家試験に合格できずに帰国した看護師・介護福祉士候補者も採用する予定。

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