助け合う人々
雨季のピークは過ぎたようだが、まだまだ一時的な豪雨に見舞われる日もある。
以前、洪水の現場=写真=に取材に行った時、人々が助け合う姿をよく見かけた。冠水した道路を通ろうとする車を、率先して誘導していたのはバイクタクシーの運転手。雨がっぱを着て、雨の中、知らない車が道路を通れるように手伝っていた。
チップをもらうわけでもなく、なぜそんなことをするのか。誘導していた1人に尋ねると、誇るでもなく当然のように「誰か困っていたら助けるんだ」と言った。
別の洪水現場では、食事を配達するバイクタクシーが、冠水で目的地までの道路に入れず、立ち止まっていた。運転手は困惑した表情を浮かべながら、宅配先に電話をかけ、事情を説明していた。その道路にはバイクどころか、歩いて通ることも難しいほど雨水が溜まっていた。すると地元住民と思しき3、4人がガヤガヤと集まってきて、それぞれスマホをいじり始めた。よく見ると皆、地図アプリを開いており、運転手に他のまわり道を提案していた。
インドネシアでの生活で、損得考えず、すぐに駆け寄って他人を助ける姿勢を幾度となく目にしてきた。彼らにとって助け合うということの根底には、古来からの生きていくための術や、宗教の教義があるのかもしれないが、人との触れあいを大切にすることの延長のようにも思える。(じゃかるた新聞=三好由華)
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