工業団地で大規模デモ 労連側「2週間の猶予」 工場は自主休止、高速封鎖なく

 複数の労働組合総連合で構成されるインドネシア労働者評議会(MPBI)は3日、派遣・請負労働の問題解消や賃金引き上げ、社会保険の充実を求め、全国各地の工業団地などで一斉ストライキを実施した。首都圏(ジャボデタベック)では、西ジャワ州ブカシとカラワンの工業団地などで働く労働者が、早朝から夕方にかけて通りを大勢で行進するなど大規模なデモを展開したが、今年1月に発生した高速道路の封鎖などには発展しなかった。同日、工業団地に入居する日系企業などの多くは工場の操業を自主休止するなどの措置を取った。(岡坂泰寛、写真も)

 ストやデモは、インドネシア金属労連(SPMI)などが集まるインドネシア労働組合総連合(KSPI)、全インドネシア労働組合総連合(KSPSI)、インドネシア福祉労働組合総連合(KSBSI)の三つのナショナルセンターで構成されるMPBIが中心となり、首都圏のほか、主要都市の東ジャワ州スラバヤや北スマトラ州メダンなど全国各地にある工業団地や港湾周辺などで実施した。
 ジャカルタ中心部では、大統領宮殿前や国会議事堂前で小規模なデモが発生したが、投石や警備隊との大規模な衝突はみられず、大きな混乱はなかった。
 ブカシなどでは、それぞれの工業団地で1万人を超える規模のデモが行われた。労組連合側はストライキが全国21県・市で行われ、参加人数は当初予定していた280万人を上回る400万人に上ったとしている。
 ストは午前8時ごろから各地で開始され、MPBIが午後4時に終了を宣言した。デモ行為によって、工業団地への道路が数時間ふさがれたほか、警察と軍が予防措置として高速道の出入り口を一時的に封鎖し、物流にも影響が出た。
 MPBIはこれまで、違法の派遣・請負労働の取り締まりなどを政府に求めており、政府による対策が講じられなかった場合、大規模なデモを実施する方針を表明。全国平均で月110万ルピアとなっている最低賃金については、首都圏を250万ルピア、首都圏外を200万ルピアに引き上げるよう求めていた。
 今回のゼネストの主導役となったKSPIのサイド・イクバル会長(インドネシア金属労連=FSPMI=会長)は「4日以降はストは行わず、政府側と協議を続けるが、2週間内に進展がみられない場合は、さらに大規模なストライキを行う」とのコメントを発表した。
 ユドヨノ大統領は同日、報道官を通じ、「ストライキは生産活動とインドネシアの経済に影響を及ぼす」との声明を発表した。ゼネスト前日の2日、ハッタ・ラジャサ経済担当調整相とムハイミン・イスカンダル労働移住相はそれぞれイクバル会長と労使問題などについて協議したが、スト回避に向けた合意形成には至らなかった。
 今年1月、ブカシ県の最低賃金をめぐる労組と経営者協会(アピンド)の対立で5万人規模のデモが発生。工業団地で働く従業員らが集結し、チカンペック高速道を封鎖するなどの混乱が起きた。

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