運賃を一斉値上げ 運用改善で乗客増狙う 国鉄首都圏 変わらぬサービスに批判も 女性専用車も登場
インドネシア国鉄(KAI)子会社で首都圏の路線を管理するKAIコミューター・ジャボデタベック(KCJ)社は1日、運行するすべての路線のエアコン付き列車の運賃を一律2千ルピア値上げした。KCJ社は同日、女性専用列車を一部路線で導入。交通渋滞が悪化の一途をたどる中、市民の鉄道への期待は高まっており、国鉄側も乗客数拡大へサービスや輸送力を強化することで、運賃値上げへの理解を図るとともに、清潔で安全、快適な交通手段というイメージを周知したい考え。一方、地元メディアでは「値上げに見合うサービスが提供されていない」と早くも批判的な論調で報じられている。
値上げ後の運賃は、最も高いジャカルタ・コタ駅(西ジャカルタ)とボゴール駅(西ジャワ州)、ジャティヌガラ駅(東ジャカルタ)を結ぶ路線で9千ルピア、タンゲラン駅(バンテン州)とドゥリ駅(西ジャカルタ)を結ぶ路線で7500ルピアとなった。値上げは昨年7月、ダイヤ改正とともに実施して以来、1年3カ月ぶり。
KCJ社広報担当のマクムル・シャヘラン氏は運賃値上げの理由を「運営コストの増大と運行列車の本数拡大のため」と説明した。
国鉄のイグナシウス・ジョナン社長は「列車は悪化する渋滞を和らげるために効率的な交通手段だ」と強調しており、現在、1日45万―50万人の輸送能力を2018年末までに125万人にまで増強する計画。屋根上乗車が横行し、車内で行商人やギター弾きなどで混雑しているエコノミー車も将来的に廃止する方針だ。
だが、値上げ初日となった1日、運賃の変更に戸惑う利用客の姿が見られたほか、ジュルナル・ナシオナル紙は「エアコンが切れ、1人が気を失った」との見出しの1面トップ記事で報じるなど、値上げしたにもかかわらず、保守管理が行き届いていないなど変わらないサービスの実態を各紙が報道。
鉄道ファンの団体「KRLマニア」は「これまで訴えていたコストがほとんどかからないはずのサービスの向上も実施されていない」「3年間、値上げを実施しないとした昨年の発表に反する」などの理由を挙げて、値上げに反対する声明を発表している。
■女性向けサービス強化
すべての車両を女性専用とする女性専用列車はジャカルタ・コタ駅―ボゴール駅・ジャティヌガラ駅の路線で導入された。1日に8本運行。日曜・祝日は運行しない。
KCJ社は昨年8月から、エアコン付き列車の最前部と最後部を女性専用車両としていたが、それに続く女性向けサービス向上の一環。初日の1日は、通常の列車は満員となる通勤時間帯も空いている状態だったという。
KCJ車は今後、女性専用列車を増便する方針を示している。