今度はハイブリッド車も 石油燃料消費抑制へ 政府があの手この手
補助金付きガソリンの消費量が拡大する中、政府はあの手この手で歯止めをかけようと躍起になっている。二年ほど前に構想がぶち上げられ、日系を中心とした自動車メーカーの追加投資を促した「低価格グリーン・カー(LCGC)プログラム」の内容が依然として確定していない中、政府はこれと並行して、電気自動車の開発やハイブリッド車の市場創出、石油からガス燃料への転換促進に向けた政策の準備を進めている。国際価格の高騰が続くだけでなく、長期的には国内産出量の先細りが見込まれる原油に依存する構造を、中長期的に転換していこうという取り組みだ。
政府が開発に意欲を見せているのは電気自動車。グスティ・ムハンマド・ハッタ研究技術担当国務相は今月初め、政府は一千億ルピア(約八億五千万円)の研究費を割り当てており、二〇一四年の商業ベースでの生産実現を目指し、来月には四つの大学が大統領の前でプレゼンテーションを行う予定と明らかにした。
研究技術担当国務相事務所はすでにインドネシア科学院(LIPI)に資金を拠出。バスタイプの電気自動車のプロトタイプが完成しており、試験や分析とともに充電方法などを検討しているという。
■現地生産も視野に
各自動車メーカーが販売・開発を進めるハイブリッド車については、完成車輸入のハードルを下げ、市場を創出した上で、国内生産を促していく方針だ。
ヒダヤット工業相は初期段階として、奢多(しゃし)品販売税(PPnBM)や関税の減免による販売価格の大幅引き下げを目指す方針を表明。今後、大蔵省との間で協議を行う意向を示した。
工業相によると、税金の減免により、現在、六億ルピア(約五百十万円)程度の販売価格を四億五千万ルピア(約三百八十万円)前後まで引き下げることが可能。長期的には、インドネシアの最大セグメントであるMPV(多目的車)分野で二億五千万ルピア(約二百十万円)ほどのハイブリッド車が販売されることも想定しているという。
■「市場あるなら」
トヨタ自動車の現地製造法人、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア社の野波雅裕社長は「圧縮天然ガス(CNG)への転換などに対し、政府から相談を受けているが、ハイブリッド車の現地生産の依頼を受けたことはない。車種によるが一万台程度の市場があれば、ビジネスとして現地生産を検討できるだろう」と語った。
インドネシア自動車工業会(ガイキンド)の統計によると、トヨタがインドネシアで販売した昨年一年間のプリウスはわずか六台にとどまったが、今後の市場の発展を視野に、現地販売法人のトヨタ・アストラ・モーター(TAM)社は先月、中型セダン「カムリ」のハイブリッドモデルを投入している。
ホンダの四輪車製造・販売現地法人、ホンダ・プロスペクト・モーター(HPM)社の内田知樹社長は「政策の内容が出なければなんとも言えないが、マーケットが広がってくれば、投入の可能性はある」と話した。