円高局面は終わりか 三菱東京UFJ銀講演会 ファリーダ氏は労務問題解説
三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店が二十二日、中央ジャカルタのホテル・インターコンチネンタル・ミッドプラザで日系企業向けに行った経済講演会では、第一部で、ファリーダ法律事務所のイク・ファリーダ弁護士が「労務問題への対応」と題して講演した。
インドネシアでのストライキは近年増加しているが、参加する労働者数は減少傾向にあると分析し、労使関係の解釈の違いや、世界不況などによるグローバル化の影響により労働問題が起きていると話した。
従業員が五十人以上の会社では、労使の意見交換の場である二者協議機関(情報伝達委員会)の設置と、就業規則の作成に対する義務が生じると説明。
また、外国人労働者は人事部門の役職に就くことが禁止されており、従業員異動の書類にサインする際などの注意を呼び掛けた。
第二部では、じゃかるた新聞の月曜コラムでおなじみの林哲久副支店長が「原油高に揺れるインドネシアルピア―中銀のジレンマ―」と題し講演。一人当たりGDP(国内総生産)が三千ドルを超えたインドネシアは「高度成長期に向けて離陸した状態」と表現し、消費者金融市場が高成長を下支えしていると語った。
近年赤字幅が拡大している石油製品の輸入額を、天然ガス、石炭、パーム油など資源の輸出額が、大きく上回る状況が続いていると説明。長期的には、資源の枯渇などに備え、製造業で輸出を拡大し、経常収支で安定的な黒字を保つことが、ルピアの安定に必要だと説いた。
ドル円相場に関しては、円高傾向が終わった可能性があるが、米国が低金利政策を続ける限り、大幅なドルの反発の期待は薄いと分析した。欧州危機は、欧州中央銀行の積極的な資金投入で、流動性危機は回避されているが、本質的な問題は未解決で、今後本格的なユーロ売りが活発化する可能性を指摘。債務不安で、インドネシアへの証券投資は減速したが、ムーディーズが格上げして以降、資本流入が急増したと説明した。
同支店は二十五日に、同ホテルでインドネシア人スタッフを対象とした講演会を開催する予定。